[II-YB12-05] 内径のZスコアによる川崎病冠動脈瘤の重症度の評価―多施設共同研究―
Keywords:川崎病, 冠動脈瘤, Zスコア
【目的】本研究の目的は,川崎病冠動脈瘤のイベント(狭窄,閉塞,血栓形成)を予測するために適切な内径のZスコアのカットオフ値を明らかにすることである.【方法】0~18歳時に川崎病に罹患し,1992~2011年に冠動脈造影を行った症例について,急性期の身長・体重,心エコー上の冠動脈径,イベントの有無, 治療法等を多施設共同研究により後方視的に調査した.【成績】全国45施設から登録された1,002例を対象としたが, 体表面積が計算できた右冠動脈(RCA)736例,左主幹部(LMT )705例,左前下行枝(LAD)590例のうち,イベントはRCA70例(9.5%),LMT8例(1.1%),LAD49例(8.3%)にみられた.感度+特異度が最も高い値を示すカットオフ値は,実測値,Zスコアの順に,RCAでは6.3mm,9.6,LMTでは7.0mm,7.3,LADでは6.3mm,8.9であった.RCAとLADに関して, 実測値では6mm, Zスコアでは10を境にKaplan-Meier解析を行ったところ, いずれもイベント発生率に有意差を認めた(P<0.001). 発症10年後のイベント発生率は, 実測値6mm以上ではRCA 21.8%, LAD 21.3%, Zスコア10以上では RCA 35.1%, LADで36.5%であった. 冠動脈瘤の形状と数等を含めたCox回帰分析の結果, 冠動脈径の実測値(RCAの調整ハザード比10.6, 95%CI2.5~44.6;LAD 3.1,1.5~6.4)とZスコア(RCA 2.8,1.5~5.3;LAD 3.2,1.6~6.5)は, いずれも独立した危険因子であった.【考察】実測値で6mm以上 , Zスコア10以上では,イベントの発生率が高く, 虚血性心疾患の発生に注意した管理が必要である.