[III-O-01] 左室流出路狭窄を伴う房室中隔欠損症の検討
Keywords:房室中隔欠損症, 左室流出路狭窄, 2心室修復後
【背景】房室中隔欠損症(AVSD)は、修復術後に左室流出路狭窄(LVOTS)が問題となり、再手術をすることがある。LVOTSを伴うAVSDの実態を把握し、治療方針を見直すことは再手術の回避に繋がる。【方法】2009.4-2015.1の期間に当院の入院歴があり、かつ幼少期に2心室修復術(BVR)を行ったAVSD119例を対象にLVOTSの発生頻度と治療方法について診療録をもとに後方視的に検討した。LVOTSの定義はエコーで大動脈弁下にdiscrete membraneや弁の付属組織を認めるかLVOT flow >1.5m/sまたはカテーテルでの圧較差>5mmHg とした。【結果】119例中complete 79例(RastelliA8例、C3例)、intermediate 19例、incomplete 21例でDown syndromeの合併が70例(58.8%)。 BVR施行時年齢は中央値8.3ヶ月。術後観察期間は中央値4.1年。LVOTSを認めたのは17例(14.3%)。Complete11例(13.9%) 、intermediate1例(5.3%)、incomplete5例(23.8%)。Down児8例(11.4%)、非Down児9例(20.4%)。 術前よりLVOTSを認めたのは11例(9.2%)(discrete membrane6例、弁の付属組織3例、圧較差のみ2例)。術前のLVOTSの圧較差は中央値9mmHg。BVR時にLVOTS解除を行った5例(discrete membrane3例、弁の付属組織2例)は術後観察期間中央値3.4年で再狭窄なく経過。BVR時にLVOTS解除を行わなかった6例中3例(discrete membrane3例)が術後1-2.5 年で圧較差70-90mmHgに増悪し、再手術を施行。うち2例は解除術後2.7-3.0年で圧較差50-70mmHgに増悪したため再度、解除術を施行。 術前にはLVOTSを認めずBVR後にLVOTSを認めたのは6例(discrete membrane3例、圧較差3例)。うち4例(discrete membrane2例、圧較差2例)はBVR後中央値8.0年で圧較差50mmHg以上に増悪し解除術を施行。観察期間中央値5.1年で再狭窄なく経過。【考察】AVSDにおけるBVR後のLVOTSの進行を術前から予測することは難しい。形態的なLVOTSを認める例では、BVR時に積極的に解除することで再手術を回避できる可能性がある。