第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

2-01 外科治療

一般口演-19
左室流出路狭窄の手術

Sat. Jul 18, 2015 10:10 AM - 11:00 AM 第4会場 (1F ジュピター)

座長:
塩川 祐一 (九州大学)
饗庭 了 (慶應義塾大学)

III-O-01~III-O-05

[III-O-03] 心室内のroutingを伴う二心室修復後に合併する左室流出路狭窄についての検討

石井 卓1, 吉敷 加菜子1, 稲毛 章郎1, 中本 祐樹1, 上田 知実1, 嘉川 忠博1, 朴 仁三1, 和田 直樹2, 安藤 誠2, 高橋 幸宏2 (1.榊原記念病院 小児科, 2.榊原記念病院 心臓血管外科)

Keywords:左室流出路狭窄, 心室内routing, 両大血管右室起始症

【背景】両大血管右室起始症(DORV)や完全大血管転位(TGA)3型の二心室修復(BVR)では心室内のrouting(IVR)が必要であり、術後に左室流出路狭窄(LVOTS)をきたす可能性がある。【対象】DORVおよびTGAでIVRを伴う二心室修復術後で、2009年1月から2014年12月の間に心臓カテーテル検査を行った症例【方法】左室流出路圧較差10mmHg以上を有意なLVOTSとし、その発生状況や治療について診療録を用いて後方視的に検討【結果】対象症例はDORV 36例、TGA11例(2型1例、3型10例)。DORVでは8例(22.2%)にTGAでは3例(27.3%)にLVOTSを合併。LVOTS症例の術前診断は、DORVはSDD/subpulmonary VSD=5例、SLL/肺動脈閉鎖/VSD=1例、SDN/subaortic VSD/大動脈離断=1例、SDN/non committed VSD=1例、TGAは全例3型。BVRの術式はIVRのみ行った症例は2例、加えて大血管スイッチを行った症例が4例、心房内スイッチを行った症例が1例、右室・肺動脈バイパスを行った症例が4例。LVOTS症例11例における経過中の最大圧較差は10~68mmHg (中央値 25mmHg)。計18回の心臓カテーテル検査結果で年齢と圧較差の関係を調べると経年的な上昇あり。LVOTSに対して外科的な解除術が行われたのは5症例(6回)で、手術時期はBVR後3.3~20.4年(中央値 10.4年)。手術方法は流出路心筋切除のみが2例、心筋切除とVSDのre-patchを行った症例が1例、膜様組織除去を行った症例が2例。5例中4例では追加術式あり(右室流出路形成術 2例、大動脈弁置換術 1例、肺動脈形成術 1例)。術後に3例は圧較差20mmHg以下へ改善したが2例では40mmHgの圧較差が残存。【考察】IVR後のLVOTSの多くは術後遠隔期に問題となり、その外科的解除は時に困難である。TGA3型や術前の血行動態が複雑なDORV症例ではLVOTSの発生頻度が比較的高く、成人期のリスクまで考慮に入れた治療方針の検討が必要である。