第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

2-03 外科治療遠隔成績

一般口演-20
体外循環・その他

Sat. Jul 18, 2015 11:10 AM - 12:00 PM 第4会場 (1F ジュピター)

座長:
井本 浩 (鹿児島大学大学院)
坂本 貴彦 (東京女子医科大学心臓病センター)

III-O-06~III-O-10

[III-O-09] バイオチューブ ~成長型人工血管の開発をめざして~

古越 真耶1,2, 森脇 健司1, 岩井 良輔1, 中山 泰秀1 (1.国立循環器病研究センター研究所 生体医工学部, 2.JASMINEどうぶつ循環器病センター)

Keywords:バイオチューブ, 成長性, 移植

【背景】成長性は、小児循環器外科における理想の人工血管に対する最大要求項目の一つである。我々が提唱してきた生体内組織形成術(IBTA)で形成される自己結合組織からなるバイオチューブは、移植後約2ヶ月で血管組織へ再構築される。その後の成長が期待されていたが動物の成長速度が急速であるため証明が困難であった。本研究では同種で予め準備したバイオチューブを用いて、若齢ビーグル犬に移植することで、口径の追従性によって成長の可能性を調べた。【方法】成ビーグル犬(体重約10kg)に外径3mmのシリコン棒型を1ヶ月皮下埋入することで、内径3mmのバイオチューブを得、70%アルコール中で保存した。これを生後2ヶ月の若齢ビーグル(体重約3kg)の頚動脈(内径約2mm)に端々結紮吻合にて長さ10mmを同種移植した。所定期間後に血管造影によって血管の性状を観察し、口径を計測した。【結果】口径差が異なるにもかかわらずバイオチューブの移植は容易であった。2ヶ月後には血管壁構造が形成されていた。4ヶ月までの観察期間中、体重は約8kgに増加し、移植部に狭窄や瘤化、膨化等の異常はなく、6例全てで開存を認めた。移植時約1.5倍であった生体血管との口径差は移植2ヶ月後にほぼ解消し、4ヶ月に約@mmまで成長した生体血管とほぼ口径差無く追従した。【結論】移植4ヶ月時点において、生体血管の成長にほぼ追従して良好な開存を維持した。単なるコラーゲン管であったバイオチューブを足場として、同種移植においても2ヶ月で血管組織が再生したことで、その後の生体血管の成長にある程度追従できたと考える。生着までの期間を要するが、バイオチューブは成長できる人工血管としてさらに期待を高めることができた。