[III-O-10] 凍結保存同種心臓弁・血管移植、組織バンク16年の経験
キーワード:同種組織移植, 凍結保存, ホモグラフト
心臓死ないし脳死ドナーから提供される同種心臓弁・血管移植は欧米においては40年以上の歴史がある。本邦においては、1990年代初頭より大阪と奈良において凍結保存同種弁移植が始められ、先天性心疾患手術や感染・炎症性心血管疾患において徐々に定着してきた。2006年より「凍結保存同種組織を用いた外科治療」として先進医療として承認されたが、先進医療の実施は心臓弁・血管の組織バンクを有する東京大学医学部附属病院と国立循環器病研究センターの2施設に限定されていた。2014年4月の改訂により先進医療実施施設要件が緩和され、今後先進医療実施施設・ドナー・レシピエント件数の増加が期待される。当院においても、1998年12月より心臓弁・血管の組織バンク活動を始め、2015年1月現在の総ドナー数200、総レシピエント数714件(静脈移植を含む)、先天性心疾患手術レシピエント77件に至る。先天性心疾患手術における手術関連死亡率は25%、生存退院後の生存率は97%、93%、90%(1,5,10年)であった。文献的考察を加えて詳細を報告する。