[III-O-11] Fontan循環患者の循環血液量の測定
キーワード:Fontan循環, 循環血液量, 心拍出量
【背景】慢性心不全患者 (CHF)の循環血液量 (CBV)は正常例と比較して多い。Fontan術後患者は心拍出量 (CO)が低く、中心静脈圧 (CVP)が高く、神経体液性因子 (NHA)が高く、CHF患者と類似しているが、Fontan術後患者のCBVの報告は殆ど無い。【目的】Fontan術後患者のCVBを測定し、血行動態、神経体液性因子、運動耐容能とどのように関連しているかを検討する。【対象・方法】対象は2013年6月から2014年12月までに当科でカテーテル検査をしたFontan術後患者で検査の同意の得られた26例 (14.3-50.8歳、extra-cardiac rerouting 14例、intra-atrial graft 7例、intra-atrial rerouting 3例、atrio-pulmonary connection 2例) 。カテーテル検査の際に、indocyanine greenを用いて脈波分光法によりCBVを測定した。CBV index (CBVI、CBV/体表面積)をカテーテル検査で得られた血行動態評価 (CO、CVP、大動脈収縮期圧 (BP)、体血管抵抗 (Rs))、NHA (ノルエピネフリン (NE)、脳性ナトリウム利尿ペプチド (BNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP))、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン (RAAS)系 (血漿レニン活性 (PRA)、アルドステロン (ALD)、及び、運動耐容能 (peak VO2)との相関を検討した。【結果】CBVは中央値4.22 (2.53-8.62)Lで、CBVIは2.39 (1.86-4.76)L/m2であった。CBVIはFontan術式で有意差は見られなかった。CBVIは血行動態評価ではCOと正の相関を示し (p<0.05)、NHAではNE (p<0.01)と逆相関したが、その他の項目、及び、RAAS系、運動耐容能とは相関は見られなかった。【まとめ】Fontan循環において、CBVはRAAS系に依存せず、一部のNHAの賦活化と関連があり、CBVの多い症例ほど心拍出量が増加していた。