[III-O-17] 心血管MRIから求められた体血流量を用いた酸素消費量と、LaFargeの酸素消費量の式との比較
キーワード:酸素消費量, MRI, LaFarge
【背景】LaFargeの表は、統計から得られた式より年齢と心拍数から体表面積当たりの酸素消費量(VO2)を導き出す方法である。近年、先天性心疾患患者群において、LaFargeの式では、3歳未満の症例では、VO2を過大評価する、という報告が散見される。【目的】LaFargeの式の正確性並びに、年齢層による酸素需要の傾向を明らかにする。【対象】先天性心疾患を有し、当院において2013年6月から2014年12月までに心血管MRIと心臓カテーテル検査を受けた34名(平均年齢7.7±4.1歳)。【方法】心血管MRIの主要血管のphase contrast法から測定された心拍数(HR)を用いて、そのHRをLaFargeの式に当てはめたVO2値(LFVO2)と、心臓カテーテル検査時のSaO2値・SvO2値・Hb値とMRI検査時の体血流量を酸素需要式に当てはめる事によるVO2値(MRIVO2)とを比較・検討した。【成績】全症例におけるMRIVO2とLFVO2では相関が認められなかった(r=0.09, p=0.60)。年齢と、LFVO2とMRIVO2の比の相関関係は、弱い負の相関を示した(r=-0.24, p=0.15)。4.5歳未満の症例に限ると、LFVO2はMRIVO2より明らかに高値を示し、有意差が生じた(159.6 vs. 121.5, p<0.01)。4.5歳以上の症例に限ると、LFVO2とMRIVO2は弱い正の相関を示した(r=0.39, p=0.04)。また、Bland-Altoman解析では、VO2が低いとLFVO2が過大評価され、、VO2が高いと過小評価する傾向が認められた。【結論】LaFargeの式は、低年齢層には、不正確になる可能性が示された。今後MRIによる血流測定をもとにした簡便かつ正確なVO2予測式の確立を考える余地がある。