第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

1-06 心臓血管機能

一般口演-22
心臓血管機能

2015年7月18日(土) 09:00 〜 09:50 第5会場 (1F アポロン A)

座長:
森 善樹 (聖隷浜松病院)
増谷 聡 (埼玉医科大学総合医療センター)

III-O-16~III-O-20

[III-O-19] フォンタン循環における動的中心静脈圧(CVP)評価の重要性:造影後CVP上昇とトレッドミル運動負荷時CVP上昇の関係

桑田 聖子, 栗嶋 クララ, 岩本 洋一, 金 晶恵, 石戸 博隆, 増谷 聡, 杉本 昌也, 関 満, 斉木 宏文, 大津 幸江, 先崎 秀明 (埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

キーワード:Fontan, CVP, Dynamic

【背景】Fontan循環における中心静脈圧(CVP)は術後遠隔期における合併症の発症に強く関与していると思われる。しかしながらカテーテル検査時に測定したCVPはFontan患者の肝うっ血所見や臨床像とは必ずしも一致しないことは臨床上しばし経験される。我々は、運動時CVP変化とカテーテル検査に伴う容量負荷時のCVP動態を計測しその関連、規定因子を検討し、臨床意義を検証した。【方法】Fontan術後患者(n=19)のトレッドミル運動負荷時に、心拍数、血圧、経皮酸素飽和度とともに、末梢静脈圧から導き出したCVPを持続的にモニターし、運動時のCVP変化を観察した。さらに、トレッドミル前後3か月以内に施行したカテーテル検査において、造影検査後のCVPの変化を計測し、両者を比較検討した。【結果】トレッドミル運動負荷ではCVPは安静時11±3mmHgから最大20±7mmHgに上昇。カテーテル検査では造影前11±4mmHgから造影後14±4mmHgに上昇した。両者の上昇率は有意な正の相関を示した(r=0.7)。 トレッドミル運動負荷、カテーテル検査におけるCVP上昇率は、平均循環充満圧や末梢静脈Capacitanceと有意な相関を示した(P<0.05)。【考察】Fontan循環においては安静時のCVPが同等でも、末梢静脈特性に応じた負荷時のCVP変化が様々な程度で起こるため、容量負荷、運動負荷による動的CVPの観察は極めて重要かつ信憑性の高い検査と思われた。さらに、さらに、今回の結果は、静脈CapacitanceがFontan術後予後の改善に重要な治療ターゲットであることを強く裏付け、Fontan患者の慢性期管理においては、静的CVPのみならず動的CVPに応じた薬物治療、生活指導の必要性を強く示唆し、その予後改善効果は重要な検証事項と思われた。