第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

1-06 心臓血管機能

一般口演-22
心臓血管機能

2015年7月18日(土) 09:00 〜 09:50 第5会場 (1F アポロン A)

座長:
森 善樹 (聖隷浜松病院)
増谷 聡 (埼玉医科大学総合医療センター)

III-O-16~III-O-20

[III-O-20] 拡張早期に血液流入を駆動および減弱させる二種類の左室内圧較差の年齢による変化

高橋 健1, 小林 真紀1, 山田 真梨子1, 大野 香奈1, 田中 登1, 稀代 雅彦1, 板谷 慶一2, 宮地 鑑2, 清水 俊明1 (1.順天堂大学 小児科, 2.北里大学 血流解析学講座)

キーワード:左室内圧較差, 左室拡張機能, 心臓超音波検査

【背景】拡張早期の左室内で心基部側と心尖部側間に生じる圧較差(intra ventricular pressure difference IVPD)は拡張能の重要な要素である。IVPDは左室への血液流入を駆動する力のinertial IVPD(I-IVPD)と、流入を減弱させる力のconvective IVPD(C-IVPD)の2種類から構成され、拡張能の本質の理解に重要である。しかし、これらの小児のデータは存在しない。【目的】I-IVPDとC-IVPDの解析により、拡張能の年齢に伴う変化を解明すること【方法】対象は4歳から38歳の健常児31例と健常成人28例。心尖部四腔断面像のカラーMモード画像からオイラーの方程式を用い、全、心基部、乳頭筋部および心尖部のIVPDとI-VPDを、またC-IVPDのピーク値を測定した。スペックルトラッキング法により、左室の変形を評価した。【結果】全IVPD(平均3.26 + 0.60mmHg)および全I-IVPD(平均3.31 + 0.61mmHg)は、年齢による変化を認めなかった。全C-IVPD(平均0.353 + 0.26mmHg) は年齢と二次曲線的に比例し減少した(p < 0.001)。心基部I-IVPD/全I-IVPG比および心尖部I-IVPD/全I-IVPG比は、それぞれ年齢と二次曲線的に比例し増加(p < 0.001)および減少した(p < 0.001)。心尖部IVPDおよびI-IVPDは、左室変形の中では、捻じれ戻り角速度と最も良く相関した(p = 0.014およびp = 0.005)。【結論】全IVPDは年齢により変化しないが、その構成要素である局所のI-IVPDおよびC-IVPDは年齢とともにダイナミックに変化し、左室捻じれ戻り角速度等の左室の変形と相関する。これらの詳細な左室拡張能の知見は、左室拡張不全の発生機序の理解と早期発見に役立ち、大変重要である。