[III-O-25] 成人先天性心疾患におけるカテーテル治療 ― 手術回避の可能性を探る ―
Keywords:成人先天性心疾患, カテーテル治療, 高耐圧バルーン
【背景】成人先天性心疾患(ACHD)におけるカテーテル治療の役割は大きいが、バルーンサイズの限界・加齢・合併疾患・既往手術など成人特有の問題を抱える。【目的】当院のACHD患者におけるカテーテル治療の実際と効果について検討する。【方法】2005-2014年の10年間に 18才以上のACHD患者に行ったカテーテル治療を後方視的に検討した。検討項目は1)疾患2)治療年齢3)治療内容4)治療効果5)合併症6)予後とした。【結果】55名（男性23、女性32）に58回のカテーテル治療を行った。年齢は18-78(中央値28)才. 1)ASD 30, PDA 6,TOF 6,TGA 4,Fontan術後 3,TOF.PA 3,Critical PS 1,COA 1,AS 1. 2)20才未満 9, 20-29才 20, 30-39才 3, 40-49才 2, 50-59才 6, 60-69才 10, 70-79才 5. 3)ASO 30, BAP 10, BVP 7, コイル塞栓術6（PDA 3, AP shunt 1, PAVF 1, VV shunt 1）, ADO 4, BAV 1. 4)有効は55、無効はTOF術後の石灰化した右室流出路に対するBVPの3例。右室圧上昇に対しBVP, BAPが有効だった12例（22%）のRV/FA比は治療前後で0.57→0.35に低下した。適応手術を回避し得たと考えられたのは、ASO、ADO, PDAコイル塞栓術を施行した37に加え、RV/FA比 0.65以上の4を加えた41名（75%）、Conquest, Ultrathinの高耐圧バルーンによる治療後、RV/FA比は0.68→0.34に低下した。5)合併症は1で、治療後のバルーン先端が断裂し、腸骨静脈からデバイスを外科的に回収。他ASO施行2週間後に自宅死亡を発見された78才男性は、AIでASO形態に問題なく不整脈関連死が疑われた。6)ASO,ADO,PDAコイル塞栓全症例、他治療有効14例（観察期間5.6年）で、外科介入例はなかった。無効例はPLE合併のTOF.PA症例１が死亡、経過観察が１だった。【考察】成人先天性心疾患におけるカテーテル治療は各年齢層で行われ、一定の成果を上げていた。ASO, ADOはもとより、TOF・Jaten術後遠隔期でも適切な時期に介入することで再手術を回避できる可能性を示していた。