[III-P-001] MAPCA bandingを行い救命できたPA,VSD.MAPCAの超低出生体重児の1例
Keywords:胎児診断, 早産児, 複雑心奇形
低出生体重児の心疾患に対する外科的介入は増加しているが、複雑心奇形を合併した超低出生体重児である場合は困難な場合も多い。【症例】双胎第1子。妊娠26週の胎児心エコーにてPAVSD,MAPCAと診断した。切迫早産のため27週4日、810gにて出生、Ap5/6。胎児診断と同様にPAVSD,MAPCAを認めた。中心肺動脈は存在し、MAPCAはエコー上3本確認できた。高肺血流による心不全を認め生後23時間よりN2吸入療法を開始したが改善を認めず、日齢2に右IVHを発症した。内科的血流制御は限界と判断し、同日一番血流量の多いMAPCAのbandingを施行した。術中より血圧上昇、尿量増加を認めたが、別のMAPCAを介した高肺血流を認め、日齢4に左IVHを発症、日齢8に消化管穿孔を認めショック状態となった。MAPCAの血流制御を行わなければ救命困難と判断し、日齢9に再度MAPCA clippingを施行。心不全改善後の日齢11に人工肛門増設術を施行した。術後難治性の乳び胸を発症したがオクトレオチド投与等で改善。日齢56に人工呼吸器から離脱した。体重増加に伴い肺血流が減少しチアノーゼを認めるようになったため、生後7か月(体重3kg)でUF+Rasteli手術を施行した。満期での頭部MRI上は異常は認めなかった。【考案】早産、低出生体重児の心疾患に対する外科的アプローチは増加しているが、本症例のように超低出生体重児の場合は診断手段も限られる。そして限られた情報で外科的介入を行うことになるため、姑息術であっても施行困難である場合がある。本症例は内科的血流制御が困難と判断した時点で、可能な限り低侵襲で血流制御できる方法としてMAPCAのbandingを選択し、救命することができた。