第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-04 複雑心奇形

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複雑心奇形③症例

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:14 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:片山 博視 (大阪医科大学附属病院)

III-P-001~III-P-004

[III-P-002] 低形成中心肺動脈を有する肺動脈閉鎖、心室中隔欠損、主要体肺側副動脈に対する姑息的右室流出路形成を含めた肺血流の調整

加藤 愛章1, 高橋 実穂1, 林 立申1, 野崎 良寛1, 中村 昭宏1, 堀米 仁志1, 松原 宗明2, 平松 祐司2 (1.筑波大学医学医療系 小児科, 2.筑波大学医学医療系 心臓血管外科)

Keywords:姑息的右室流出路形成, 肺動脈閉鎖, 主要体肺側副動脈

【背景】肺動脈閉鎖、心室中隔欠損(VSD)、主要体肺側副動脈(MAPCA)の治療において、統合化に適さないMAPCA形態で、中心肺動脈が著しく低形成でシャント術が困難な症例では、姑息的右室流出路形成(p-RVOTR)が唯一の選択肢となることがある。【症例1】2歳男児。日齢10の造影CTでは中心肺動脈の同定は困難で、徐々に高度の低酸素血症が進行した。生後7か月に中心肺動脈は2mmとなり、p-RVOTRを施行した。生後8か月、11か月にMAPCAのコイル塞栓術を施行した。流出路狭窄が進行し、1歳3か月で再度p-RVOTRを施行したが、PA indexは45と小さく、VSD閉鎖は施行しなかった。その後も肺動脈狭窄に対するバルーン拡張を繰り返している。【症例2】2歳男児。生後22日の造影CTで非常に低形成な中心肺動脈が確認されたが、MAPCAでの肺血流維持が可能と判断されたが、徐々に高度の低酸素血症が進行した。生後3か月に中心肺動脈は2mm となり、p-RVOTRを施行された。1歳1か月で導管吻合部の狭窄に対しバルーン拡張術、MAPCAに対しコイル塞栓術を施行された。1歳4か月にPA indexは89となり、RVOTR、一方向弁付パッチでVSD閉鎖を施行できた。しかし、その後も肺動脈狭窄により右室圧上昇を来し、肺動脈バルーン拡張を繰り返している。【症例3】7か月男児。生後18日の造影CTで中心肺動脈は4.5mmであった。生後5か月にp-RVOTRとMAPCAの結紮術を施行したが、手術侵襲による心機能低下、他のMAPCAからの肺血流増加などによる心不全を呈した。生後6か月に右室流出路吻合部に仮性瘤が出現し、切除術を施行した。その後も心不全の悪化があり、生後7か月に死亡した。【まとめ】p-RVOTRにバルーン拡張術、MAPCAに対するコイル塞栓術などを組み合わせることで細い中心肺動脈でも発育できる可能性がある。しかし、末梢の肺動脈も発育するとは限らず、MAPCAからの肺血流を完全に遮断することも容易でないため、根治に到達するかは不透明である。