[III-P-008] 結紮用クリップを用いた両側両側肺動脈絞扼術は術後末梢肺動脈狭窄に対する治療介入を減少できる
キーワード:両側肺動脈絞扼術, 結紮用クリップ, カテーテルインターベンション
【背景】両側肺動脈絞扼術(BPAB)は有用な治療だが、解除後に違残狭窄を生じやすく、特に左心低形成症候群(HLHS)では、interstageでの肺動脈に対する治療介入を増加させる事も報告されている(J Thorac Cardiovasc Surg 2014;147:706-12)。我々は違残狭窄への対策として、チタン性の結紮用clipで肺動脈を挟む事で肺動脈周囲長を短縮せずに肺血流を減じる方法(clip-BPAB)を採用している。【目的】clip-BPAB施行後のinterstageおよび術後における肺動脈への治療介入の有無を検討する。【対象】2010年4月~2014年4月までにclip-BPABを施行した25例中、死亡5例を除いた20例を、2心室修復(2v)群9例(IAA 4,PAIVS 2,TAC 2,Shone 1,DORV 1)、1心室修復群(1v)11例(HLHS 9,SV 2)に分けて検討した。【結果】2v群で、ICR後の肺動脈に対する再手術はなく、カテーテルインターベンション(CI)は3例で施行された。CIありのICR施行年齢は4~7ヶ月(中央値5ヶ月)とCIなしの1~4ヶ月(中央値2ヶ月)にくらべICR施行時期が遅い傾向にあった。1v群では、Norwood+RVPA 1例,BDG到達(TCPC待機)4例,TCPC到達5例。BPAB解除+BDGは1例を除き生後3ヶ月で施行、TCPC手術時年齢は17~21ヶ月(中央値18ヶ月)、最終PA index 120~278(中央値148)。BDG術後急性期に肺動脈血栓塞栓による肺動脈形成を1例で施行。InterstageおよびTCPC術後の肺動脈へのCIは、BDG後とTCPC術後の各1例のみで、CI回避率は3/5(60%)。【考案】2v群において、BPAB解除時期が遅いと肺動脈へのCIが必要となる可能性がある。またHLHSではBPAB後の肺動脈への治療介入回避率は20%との報告もあり、我々の方法は1v群でも肺動脈への治療介入を減少させた可能性がある。【結語】clip-BPABはinterstageおよび術後の末梢肺動脈狭窄の予防に有用である。