[III-P-009] 冠動脈肺動脈瘻の2例 -左右冠動脈肺動脈瘻の希少例-
キーワード:冠動脈肺動脈瘻, 肺動脈閉鎖, 外科手術
【はじめに】冠動脈肺動脈瘻は非常にまれで診断も困難であり、術中診断される報告も多い(報告24例中5例)。【症例1】在胎36週、3360gで出生後よりチアノーゼありVSD、PA、右肺動脈上行大動脈起始 (左肺動脈はMAPCAにより灌流)と診断。SpO2 80%で心不全はなく、4歳時に一期的に心内修復を行う方針となり、術中に左冠動脈肺動脈瘻と診断した。左冠動脈右肺動脈瘻の切離、VSD閉鎖、右室流出路再建(ePTFE一弁付パッチ)、左肺動脈再建(ePTEF 8mm graft)を施行。術後冠動脈起始部の拡大があり、冠血流に問題ないが、アスピリン内服を継続中。現在12歳、右肺高血圧47/6(21)mmHgと左肺動脈狭窄25/7(18)mmHg、重症ARを合併しAVR待機中。【症例2】在胎37週、出生体重2513gで出生後チアノーゼあり。VSD、PA、左右肺動脈の連続性はなく、左肺動脈はPDAから、右肺動脈は大動脈弁近傍から起始した血管より別々に灌流。Lipo PGE1を投与し3か月時にL-mBTシャント造設術を施行。その後4か月、1歳時の血管造影にて左右冠動脈の両方からの右肺動脈瘻と診断した。SpO2 80%で体重増加不良など心不全症状あり。1歳時RPA圧=45/32(35)mmHg、LPA圧=16/10(12)mmHgと右肺高血圧の所見であった。現在心内修復を待機中。【まとめ】左右冠動脈瘻の報告はこれまでになく希少例であった。冠血流維持のためには瘻孔形成側肺動脈の肺高血圧を許容しなければならず、手術時期の決定が非常に困難である。冠動脈起始部は瘻孔によって拡大しており術後冠血流について慎重なフォローアップが必要となる。