第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-05 画像診断

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画像・心エコー システム

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:20 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:木村 純人 (北里大学)

III-P-010~III-P-014

[III-P-013] 腎血管性高血圧と巨大腹部大動脈瘤を合併したMid aortic syndromeの乳児例

武内 崇1, 垣本 信幸1, 末永 智浩1, 鈴木 啓之1, 渋田 昌一2 (1.和歌山県立医科大学医学部 小児科, 2.紀南病院 小児科)

Keywords:Mid aortic syndrome, 腹部大動脈瘤, 腎血管性高血圧

【はじめに】Mid aortic syndrome(MAS)は腹部大動脈とその主要枝に狭窄を認める稀な症候群である。90%以上の症例に腎動脈狭窄を認め、腎血管性高血圧、跛行、腎不全、腸管虚血などを呈する。腎血管性高血圧と継時的に増大する腹部大動脈瘤を合併したMAS乳児例を経験したので報告する。【症例】1歳0か月女児 身長70.5cm 体重 6900g 【出生歴】胎児水腫、胎児心機能低下、羊水過多のため在胎30週1日緊急帝王切開にて出生。Apgar 4/4 出生体重 2012g 出生直後から蘇生を必要とし、人工呼吸管理を行った。【経過】乏尿に対して日齢1から日齢8まで腹膜透析を行った。新生児期から難治性の高血圧を認め、PDE阻害薬、Ca拮抗薬、ACE阻害薬を使用したが、収縮期血圧90mmHg程度の高血圧が持続した。心エコー検査では心筋の肥厚を認めたが、大動脈縮窄は認めなかった。生後4か月エコーで腹部大動脈の拡張に気付き、造影CTにより腹部大動脈瘤と遠位側腹部大動脈狭窄を確認。MASと診断した。生後7か月高血圧性頭蓋内出血(左被殻)のため入院。入院時の血圧は137/76mmHgであった。ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、α遮断薬の使用と腹膜透析の導入にて、高血圧と腎不全に対する治療を行い、収縮期血圧を100mmHg前後にコントロールすることができた。【腹部大動脈造影CT】腹部大動脈瘤の最大値は、生後4か月17mm 生後7か月30mm 生後9か月38mm 生後12か月38mmと継時的に増大している。【考察】本症例の腹部大動脈瘤の増大は進行性である。現時点での外科的介入は困難で、腹膜透析と多種類の降圧剤の使用で高血圧を管理し、腹部大動脈瘤の増大破裂を予防する内科的治療が必要である。【まとめ】出生時から著名な腎血管性高血圧を呈したMAS乳児例を経験した。継時的に増大する巨大腹部大動脈瘤を合併した。降圧剤の多剤併用と腹膜透析の導入が血圧コントロールに有用であった。