第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-05 画像診断

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画像・心エコー システム

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:20 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:木村 純人 (北里大学)

III-P-010~III-P-014

[III-P-014] 第5大動脈弓遺残の2症例

寺澤 厚志1, 桑原 直樹1, 星 みゆき1, 山本 哲也1, 面家 健太郎1, 後藤 浩子1, 桑原 尚志1, 西森 俊秀2, 中山 祐樹2, 岩田 祐輔2, 竹内 敬昌2 (1.岐阜県総合医療センター小児医療センター 小児循環器内科, 2.岐阜県総合医療センター小児医療センター 小児心臓外科)

Keywords:第5大動脈弓遺残, 大動脈縮窄, 造影CT

【背景】第5大動脈弓遺残は希な心奇形であり、体-体や体-肺シャントの原因ともなる。大動脈縮窄(CoA)などの他の心奇形を合併することが多い。今回我々は希な第5大動脈弓遺残の2症例を経験したため報告する。
【症例1】2ヶ月時に喘息性気管支炎と診断され近医に入院。入院時のレントゲンで心拡大を認め、心エコーにて大動脈縮窄を疑われ当院に搬送となった。上下肢血圧差40mmHgあり、心エコーにてisthmus 1.6mm、流速4.7m/sと加速を認めた。大動脈弓が通常より低位で、3分枝は同時に起始していた。造影CTを施行したところ、第4大動脈弓の離断と第5大動脈弓縮窄と診断し、翌日に拡大大動脈弓吻合術を施行した。
【症例2】2ヶ月の女児。胎児エコーにて心室中隔欠損(VSD)、肺動脈閉鎖(PA)、主要大動脈肺動脈側副血管を疑われ出生。心エコーで3分枝と動脈管が同時に起始し、大動脈はダブルルーメンとなっていた。合併奇形として瘻孔を伴う鎖肛あり。診断確定のため造影CTを施行したところ右大動脈弓(RAA)で、腕頭動脈から左鎖骨下動脈、左総頚動脈、右総頚動脈および左動脈管が起始、右鎖骨下動脈は通常通り大動脈弓から起始していた。また大動脈はダブルルーメンとなっており、VSD、PA、RAA、Lt.PDA、大動脈分枝異常、第5大動脈弓遺残(ダブルルーメンアーチ)と診断した。lipo-PGE1を使用し生後1ヶ月でBTシャント手術を施行。文献的には第5大動脈弓はPGE1感受性があるものが存在すると報告されており、PGE1の中止は慎重に行った。現在2心室修復を目指して待機中である。
【まとめ】第5大動脈弓遺残は稀な心疾患であるが、大動脈縮窄と伴う典型例と、胎児期からフォローした第5弓大動脈遺残を伴うVSD, PA症例を経験した。大動脈弓の発生をよく理解し、低位大動脈弓や大動脈分枝の起始異常を認める際には第5弓大動脈弓遺残の可能性を考慮する必要があり、診断に造影CTが有用であった。