第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスター

1-05 画像診断

ポスター
画像エコー

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:56 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:小野 博 (国立成育医療研究センター)

III-P-015~III-P-020

[III-P-020] Vector Flow Mappingを用いた小児大動脈弓病変のエネルギー損失の評価

田澤 星一1, 安河内 聰1,2, 瀧聞 浄宏1, 仁田 学1, 島袋 篤哉1, 百木 恒太1, 山崎 聖子1, 梅津 健太郎3, 齊川 祐子2, 蛯名 冴2 (1.長野県立こども病院 循環器小児科, 2.長野県立こども病院 エコーセンター, 3.長野県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:coarctation of the aorta, energy loss, vector flow mapping

【背景】心エコーの新しい手法であるvecter flow mapping(VFM)は、流体力学の理論を適応し角度依存なく心血管内の血流ベクトル分布を描出し、隣接するベクトルの差から大動脈弓の2次元断面上でのエネルギー損失(energy loss, EL)の算出が可能である。大動脈縮窄(CoA)・大動脈弓離断(IAA)では大動脈遺残病変が遠隔期の問題となるが、圧較差の少ない軽度の遺残縮窄は評価は難しい。【目的】VFMを用いて、軽症大動脈遺残縮窄のエネルギー損失を評価すること。【対象】血圧の上下肢差を認めないCoA、IAA修復後の小児8例(CoA群、うち未手術1例)。月齢1-27(中央値4.5)、体重2.9-13.9kg(中央値6.1)、体表面積0.19-0.56m2 (中央値0.31)、手術時月齢1-8(中央値2)。【方法】診断機器は日立アロカメディカル社製Prosound F75。大動脈弓を描出し、Frame rate 24-73Hz(中央値60)にてcolor Doppler画像を記録。同社製ソフトウェアでoff-line解析を行った。1心周期の大動脈弓のEL(J/m)を算出し、月齢をマッチさせた小児10例を正常対照とし、大動脈弓EL、および上行大動脈を通過する運動エネルギー量(J/m・s)(VFM上で算出可能)に対するELの比率%ELについて比較した。検定はMann-WhitneyのU検定を用い、危険率の有意水準はp<0.05とした。【結果】ELはCoA群、対照間で差を認めなかった(0.030±0.019 vs 0.018±0.020, NS)が、与えられたエネルギーに対するELの割合では、CoA群では正常対照に対して有意に高値であった(CoA群 21.5±10.9%、対照6.1±3.0%、p<0.05)。両群間で心係数、一回心拍出量に差は認められなかった。【考察】ELの絶対値ではCoA群と正常対照では差がなかったが、上行大動脈の運動エネルギーを用いて標準化すると、上下肢の圧較差が認められない軽症CoAでもELは正常対照との間に差が見られた。【結語】軽症大動脈病変においても大動脈弓ELは増加しており、VFMは新しい評価法になりうる。