第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-10 心筋心膜疾患

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心筋炎③

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:20 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:桃井 伸緒 (福島県立医科大学)

III-P-021~III-P-025

[III-P-021] 急性心筋炎に伴う不整脈

金子 正英, 越智 琢司, 真船 亮, 佐々木 瞳, 林 泰佑, 三崎 泰志, 小野 博, 賀藤 均 (国立成育医療研究センター 循環器科)

Keywords:急性心筋炎, 不整脈, 房室ブロック

急性心筋炎発症時に不整脈を合併することは多く、心収縮の低下とともに血行動態を悪化させ、治療に難渋することも少なくない。【目的】 急性心筋炎に伴う不整脈発生の現状と治療経過を知ること。【方法】 2002年から2014年に急性心筋炎の診断で当院に入院した症例を対象とし、不整脈発生の有無と種類、治療経過、予後を電子診療録より後方視的に調べる。【結果】34例の急性心筋炎の入院があった。不整脈を認めたのは23例(68%)。徐脈性不整脈は13例(38%)で認められ、完全房室ブロック9例、高度房室ブロック3例、Wenchebach型2度房室ブロックが1例であった。頻脈性不整脈は13例(38%)に合併し、心房頻拍2例、心室期外収縮2例、心室頻拍・心室細動が9例であった。ECMO治療を行ったのは21例(62%)、経静脈ペースメーカー留置を10例で行い、抗不整脈薬投与を必要としたのは11例であった。抗不整脈薬はNa遮断薬7例、アミオダロン5例であった。4例死亡し、30例(88%)が生存した。回復期にペースメーカー治療を要したのは1例のみで、後にペースメーカー植込みを行った。残りの9例では、洞調律化は1~6病日(中央値4)に認められた。心室性不整脈は、集中治療開始後に全例消失した。回復後も抗不整脈剤の治療を必要としたのは、心房頻拍の2例のみであった。【考察】急性心筋炎に伴う不整脈に対する治療は、一時的なサポートのみで回復する例が多かった。回復後も不整脈が残存する例では、炎症により伝導系や心筋組織が線維化、瘢痕化まで進行したためと考えられた。どのような要因が不整脈残存に影響するか、今後も症例を重ね検討していきたい。