第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-10 心筋心膜疾患

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心筋炎③

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:20 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:桃井 伸緒 (福島県立医科大学)

III-P-021~III-P-025

[III-P-022] ECMO導入に至った小児心筋炎4例の検討

三木 康暢1, 田中 敏克1, 祖父江 俊樹1, 亀井 直哉1, 小川 禎治1, 佐藤 有美1, 富永 健太1, 藤田 秀樹1, 城戸 佐知子1, 大嶋 義博2 (1.兵庫県立こども病院 循環器科, 2.兵庫県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:fulminant myocarditis, extracorporeal membrane oxygenation, children

【背景】心筋炎は臨床像が多岐にわたり、重症例では補助循環が必要となるケースがある。
【目的】ECMO導入に至った小児心筋炎の臨床像、予後について検討する。
【方法】2006年から2013年に当院に入院した、急性心筋炎6例のうち、ECMO導入に至った4例を対象とした。CK・乳酸値、発症から入院まで・入院からECMO導入までの期間、導入の契機、ECMO期間、予後、合併症、神経学的予後について後方視的検討を行った。
【結果】年齢は中央値7歳(1-12歳)、体重 22kg(12-34kg)。最大CK 8140 IU/L(2691-11649 IU/L)、乳酸 6.1mmol/L(2.1-8.5mmol/L)であり、ECMO非導入例と有意に差を認めた。 発症から入院までは3日(1-3日)、入院からECMO導入まで20時間(6-72時間)であった。導入の契機は3例VT、1例LOSであった。VTのうち、2例は挿管前の筋弛緩薬・鎮静薬の使用が引き金となった。ECMO期間は130時間(107-153時間)であった。ECMOに伴う合併症は1例譫妄、1例腓骨神経麻痺であった。全例生存退院し、退院後の心収縮能は全例正常範囲であった(LVFS 32-36%)。退院前の頭部MRIでは3例正常、1例は低酸素性虚血性脳症を呈していた。
【考察】小児心筋炎に対するECMOは比較的安全に行えていた。ショック・不整脈が起こる可能性を常に念頭に置き、密に管理を行い、導入の準備をするよりほかない。導入の基準は明確ではないが、心室性不整脈の頻度の増加があれば早期の導入も考慮してよいのかもしれない。導入時期を逸しないことが、予後の改善、合併症の回避につながる。