[III-P-025] けいれんを呈した急性心筋炎の2例
Keywords:急性心筋炎, けいれん, 不整脈
【背景】急性心筋炎は病初期には多彩な症状を呈することが知られている。今回、けいれんを契機に急性心筋炎と診断された2例を経験したので報告する。【症例1】6歳男児。全身倦怠感で発症し、近医受診にて経過観察の指示を受けた。3病日に1分程度の全身強直性けいれんが出現した。救急車内で持続性心室頻拍が記録された。ICU入室直後より急激な意識レベル低下とバイタルサインの不安定を認め、蘇生開始と並行して経皮的人工心肺補助装置(PCPS)を装着した。一時的に高度ポンプ失調を認めたが、8日間でPCPS離脱可能であった。神経学的後遺症なく退院した。【症例2】12歳男児。嘔吐下痢で発症し、近医受診にて経過観察の指示を受けた。4病日に1分程度の全身強直性けいれんが群発した。救急車要請し、紹介元で高度房室ブロックを認め、当院ICUへ搬送された。ICU入室後1時間で血圧低下および高度房室ブロックの進行を認め、緊急で経皮的ペースメーカ植え込みを行った。5日間のペースメーカ管理を要したが、洞調律に回復した。神経学的後遺症なく退院した。【まとめ】けいれんを呈する急性心筋炎は致死的な経過をとり、早期に濃厚な医療介入を要した2例を経験した。今後の課題としてはけいれんを発症する前に急性心筋炎の可能性を考慮した診療の啓蒙が必要と考えられた。