[III-P-028] 純型肺動脈閉鎖に対して経皮的肺動脈弁拡大術を行い、良好な経過をたどった一例
Keywords:純型肺動脈閉鎖, 経皮的肺動脈弁拡大術, カテーテル治療
【背景】純型肺動脈閉鎖(PAIVS)は先天性心疾患の約3%を占め、その病態には多様性があり、治療方針の決定には十分な評価が必要である。近年、カテーテル治療が選択される機会が増加しており、適切な症例に対しては有効な治療法である。【症例】日齢11男児。妊娠24週3日にIUGRの指摘あり胎児心エコーを施行。PAIVS・DA・FO・TR severeの診断。妊娠37週0日、2422g、Apgar 8/8で出生。超音波検査で同様の診断であった。1.肺動脈弁は膜様閉鎖、2.右室依存性の類洞交通がない、3.右室容積が保たれ、3部位が存在する、4.三尖弁径Z score=0.2であることより経皮的肺動脈弁拡大術(PTPV)での治療が可能と判断。lipo-PGE1製剤でDAを維持し、日齢11にPTPVを施行。4Fr Judkins右冠動脈カテーテルを使用して右室流出路へ到着し、0.025”radifocusワイヤー(strait, soft end)で弁を穿通。最終的に肺動脈弁輪径の117%となる6mm(6.26mm at 10atm), Steringバルーンカテーテルを使用しwaistの消失を得た。直後よりrandiololを使用して右室流出路狭窄の進行を抑制し、POD9にlipo-PGE1より離脱。POD19にrandiololからatenolol内服に変更、POD24にはatenololも中止とした。以降、PR slight、TR moderateで経過し、術後約2ヶ月で体重増加を待ち、退院となった。【考察】PAIVSに対するPTPVは、一定の基準を満たす症例に対しては有用な方法である。超音波や造影所見を元に、適切なデバイスを選択し穿通の位置および方向を誤らなければ、安全に行えると考える。今後、更なる症例の蓄積と治療法の確立が必要である。