第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-20 その他

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カテーテル治療④

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:50 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:田中 敏克 (兵庫県立こども病院)

III-P-026~III-P-030

[III-P-030] 先天性門脈体循環シャントに対するカテーテル治療及び肺血管拡張薬の肺高血圧症に対する効果

白水 優光, 山村 健一郎, 村岡 衛, 寺師 英子, 鵜池 清, 中島 康貴, 平田 悠一郎, 永田 弾, 森鼻 栄治 (九州大学病院 小児科)

Keywords:門脈体循環シャント, 肺高血圧, カテーテル治療

【背景】先天性門脈体循環シャント(CPSVS)において、肺高血圧症は最も致命的な合併症である。CPSVSに対するカテーテル治療は1999年に初めてcoil塞栓術で報告されたが、以後もまとまった報告は少なく、近年登場した肺血管拡張薬の併用を含め、その肺高血圧症に対する効果は不明である。【方法】過去10年間に当院にてCPSVSに対してカテーテル治療を行った9例における臨床経過、検査所見、治療選択、肺高血圧合併例の転帰について診療録を元に後方視的に検討した。また1999年以降の報告についても同様に検討した。【結果】男児5例、女児4例、初回治療時の年齢は1-18歳(平均7.2歳)。肝外シャントが8例(脾腎シャント5例、胃腎シャント2例、上腸間膜‐奇静脈シャント1例)、肝内シャントが1例(右門脈‐中・右肝静脈)。単発が6例、多発が3例であった。治療はcoil塞栓術が6例、BRTOが3例で、術中合併症はBRTOの1例に発熱を認めたのみであった。肺高血圧は3例でみられ、1例はCPSVSの塞栓のみで改善した。2例は塞栓のみでは改善せず、肺血管拡張薬の併用で改善した(平均観察期間 5.3±5.1年、推定右室圧 塞栓前 61.7±5.7 → 塞栓後 50.0±11.4、遠隔期 48.0±12.3 mmHg)。また過去の報告は全24例でcoil塞栓術11例、BRTO2例、Amplazter Vascular Plug12例、ステント3例、umbrella2例(重複あり)。肺高血圧合併は5例で、4例で改善したが1例は肺血管拡張薬を併用していた。【まとめ】カテーテル治療のみで肺高血圧の改善が得られるとは限らないが、少なくとも進行を抑制することができると考えられ、肺血管拡張薬の併用により全例で肺高血圧の改善が得られた。診断後は速やかに適応を判断した上で、適切な集学的治療を行うことが重要である。