第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-07 カテーテル治療

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カテーテル治療⑤

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:38 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:佐川 浩一 (福岡市立こども病院)

III-P-031~III-P-038

[III-P-035] カテーテル治療抵抗性の腎血管性高血圧―自家腎移植が有効であった一例―

若宮 卓也, 鈴木 彩代, 河合 駿, 中野 裕介, 渡辺 重朗, 鉾碕 竜範, 岩本 眞理 (横浜市立大学附属病院 小児循環器科)

Keywords:腎血管性高血圧, 線維筋性異形成, 内膜

【背景】小児の線維筋性異形成による腎動脈狭窄に対しては、カテーテル治療が有効であることが多い。しかし、我々は4回のバルーン腎血管形成術(PTRA)を行うも再狭窄を来たし、最終的に自家腎移植を行い、血圧の改善に成功した例を経験したので報告する。【症例】5歳男児。頭痛、嘔吐を主訴に近医受診した際に、血圧210/140mmHgと著しい高血圧を指摘された。降圧薬3剤(アムロジピン、エナラプリル、ロサルタン)導入後、血管造影検査で右腎動脈の近位部に最狭窄部0.6mm、狭窄長10mm(参照径3.0mm)を確認し、腎血管性高血圧と確定診断した。同部位に対し、PTRAを計4回施行した。1回目:使用カテはSHIDEN 2.5mm×20mm、最狭窄部は0.6→1.7mmに拡張。2回目:Bandicoot Rx 3.5mm×20mm、0.6→2.2mmに拡張。3回目:AngioSculpt 3.5mm×20mm、0.9→2.9mmに拡張。4回目:small Peripheral Cutting Balloon 3.5mm×15mm、0.9→3.4mmに拡張。いずれも治療後の短期間は効果が得られ、一時的に降圧薬の減量が可能であったが、1-3か月で増悪した。カテーテル治療は限界と判断し、最終的に自家腎移植を行う方針とした。4回目のPTRAから8カ月後の7歳時(診断から2年後)に手術を施行。手術は右腎動脈本幹を内腸骨動脈に端端吻合を行った。腎動脈狭窄部の病理所見は、強い内膜の肥厚が目立つが中膜には所見は乏しく、比較的稀な、内膜に主要病変を有する線維筋性異形成であった。また一部に中膜まで至る解離も確認され、PTRAによる一定の効果も確認された。移植後1年以上経過しているが、降圧薬1剤のみで血圧は110/60mmHg程度に保たれており、腎動脈の再狭窄は認めていない。【考察】本症例はPTRAを繰り返したがいずれも短期間で再狭窄を来たした。病変の首座によりPTRAの効果が左右される可能性が示唆された。【結語】PTRAによる効果が乏しい腎血管性高血圧に対しては、小児においても自家腎移植は有効な選択肢と考えられる。