第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-07 カテーテル治療

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カテーテル治療⑤

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:38 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:佐川 浩一 (福岡市立こども病院)

III-P-031~III-P-038

[III-P-036] 高ガラクトース血症により発見されコイル塞栓術を施行した先天性門脈体循環シャントの2例

川合 英一郎1, 木村 正人1, 高橋 怜1, 大軒 健彦1, 川野 研悟1,2, 柿崎 周平1,3, 坂本 修1, 呉 繁夫1 (1.東北大学病院 小児科, 2.宮城県立こども病院 循環器科, 3.柿崎小児科)

Keywords:コイル塞栓術, 門脈体循環シャント, カテーテル治療

【はじめに】先天性門脈体循環シャントはしばしば代謝異常を伴わない高ガラクトース血症をきたすことがあり、新生児マススクリーニングで高ガラクトース血症を指摘された症例の精査の過程で発見されることがある。今回、新生児マススクリーニングで高ガラクトース血症を指摘され、門脈体循環シャントと診断された2症例に対してコイル塞栓術を施行し、良好な経過を得たので文献的考察を加えて報告する。【症例】2症例とも当初よりガラクトースに加え総胆汁酸(TBA)の上昇があり静脈管開存が疑われたが、超音波検査では静脈管開存は指摘できなかった。しかし、CT検査にて1例目で肝外門脈体循環シャント、2例目で門脈-左腎静脈シャントが指摘された。カテーテルによる試験閉塞で門脈圧の上昇がないこと(それぞれ22mmHg、16mmHg)を確認した後、コイル塞栓術が施行された。治療後には症例1でガラクトースは20.8mg/dlから0.1mg/dl、TBAは167.8から3.8μmol/lへ、症例2ではガラクトースが17.9から0.2mg/dl、TBAが49.3から2.9μmol/lへの低下が確認された。また、門脈圧亢進症状もなく経過は良好である。【考察】高ガラクトース血症の原因として代謝異常が知られているが、報告ではマススクリーニングで指摘された症例の1割程度が門脈体循環シャントによるものであり、肝外シャントの報告もある。高ガラクトース血症においてTBAが高値の場合には門脈体循環シャントを鑑別すべきであり、肝外シャントも充分に検索すべきである。シャントの治療は外科的に結紮する方法もあるが、コイル塞栓術ではバルーンカテーテルを用いた試験閉塞や門脈造影が可能で、コイル塞栓術後の門脈圧亢進の有無を判断できる点で有利であり、美容的な問題も少ない。門脈体循環シャントの治療では積極的にコイル塞栓術を検討すべきである。