第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-07 カテーテル治療

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カテーテル治療⑤

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:38 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:佐川 浩一 (福岡市立こども病院)

III-P-031~III-P-038

[III-P-037] 新生児期に行った心臓カテーテル治療から見た胎児診断症例の検討

石田 宗司, 石井 卓, 中本 祐樹, 吉敷 香菜子, 稲毛 章朗, 上田 知実, 嘉川 忠博, 朴 仁三 (榊原記念病院 小児循環器科)

Keywords:胎児診断, カテーテル治療, 動脈管依存性心疾患

【背景】胎児診断は分娩を計画的に行い、適切な時期での治療介入により児の予後を改善させる報告がある一方、予後に影響しないとの報告もある。今回、胎児診断の有用性を新生児期に行ったカテーテル治療(以下CI)の側面から考察する。
【方法】2005年1月1日から2015年1月1日までの10年間に当院で新生児期にCIを行った75例(80回)が対象。胎児診断例(以下A群、13例)と生後診断例(以下B群、62例)に分けて検討する。
【結果】疾患の内訳はTGA30例、PA/IVS9例、vPS10例、HLHS7例、RV7例、TA3例、TAPVR2例、MA2例、SLV2例、IAA 1例、SRV1例、critical AS1例。CIはBAS55回、PTPV16回、PDA stent留置7回、TAPVR stent留置1回、PTAV1回(計80回)。生後診断例の契機はチアノーゼ52例、心雑音6例、呼吸障害3例、その他1例。平均在胎週数はA群37週6日、B群39週0日(P=0.009)、平均出生体重はA群2627g、B群2993g (P=0.002)。搬送時の平均日齢はA群4.46日、B群4.24日(P=0.903)。搬送時の血液ガス分析によるpH,Lac,BE(P=0.583,P=0.054,P=0.10)に優位差を認めなかった。搬送当日の緊急CIはA群1例に対し、B群16例(うちショック症例4例でpH<7.0は2例)と多く認めた。しかし、CIの成功率(A群10/15 B群58/65 P=0.071)、合併症の割合(A群3/15 B群5/65 P=0.340)、両群の生存率(P=0.099)に有意差を認めなかった。
【考察】胎児診断の有用性として動脈管依存性心疾患に対するLipPGE1投与やBASなどの緊急CIが挙げられる。A、B群の搬送時の全身状態(pH,Lac,BE)に優位差を認めなかったが、生後診断例が出生施設から専門施設を経由し内科的治療介入が行われ搬送される当院の特性によるものと考える。そのような背景から今回CIの側面から予後を検討したが、緊急CI症例はB群に多く認めたが全体の症例数が少なく、統計学的考察はできなかった。また、CIの成功率、合併症、そして生存率に有意差を認めず、本検討では胎児診断の有用性は確認できなかった。