[III-P-042] 新生児・乳児期の心房頻拍に対する塩酸ランジオロールの使用経験
Keywords:塩酸ランジオロール, 心房頻拍, βブロッカー
【背景】塩酸ランジオロールは超短時間作用型の静注用β1遮断薬である。小児において周術期の頻脈性不整脈に対する有効性の報告は散見されるが、基礎心疾患のない頻脈性不整脈に対しての有効性は明らかでない。今回、我々は基礎心疾患のない新生児・乳児の心房頻拍3例に対して塩酸ランジオロールを使用し有効であったので報告する。【結果】日齢12-108の基礎心疾患のない心房頻拍の3例。いずれもHR>200/minのnarrow QRS tachycardiaであり、ATP投与またはDCを施行するも無効であった。NICU入院中であった1例を除き来院時には頻拍誘発性心筋症を呈していた。鎮静、プロカインアミド投与を行うも頻拍の停止を認めないため、rate control目的に塩酸ランジオロールを使用した。塩酸ランジオロールは血圧モニタリング下に5γより開始し、HR 150-200/minを目標に増量をおこなった。開始後2-5時間で目標HRに到達し、維持量は15-50γであった。頻拍の改善後、ビソプロロールまたはカルベジロール内服を開始後中止した。使用期間は5-22日間であった。いずれの症例でも明らかな有害事象は認めなかった。【考察】塩酸ランジオロールは血中半減期が約4分間と調節性が高く、β1受容体選択制が強く、陰性変時作用が陰性変力作用よりも優位である。小児の心房頻拍の治療においてこの特長は非常に都合がよく、今回の症例でも有害事象なく速やかなrate controlが可能であった。【結語】基礎心疾患のない新生児・乳児期の心房頻拍においても塩酸ランジオロールにより有効かつ安全に治療できる可能性がある。