第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスター

1-08 電気生理学・不整脈

ポスター
胎児・新生児不整脈

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:20 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:鈴木 博 (新潟大学医歯学総合病院)

III-P-039~III-P-043

[III-P-043] 胎内治療が有効であった胎児心房頻拍の一例

本倉 浩嗣1, 宮田 明未2, 福山 緑1, 宮本 尚幸1, 伊藤 由依1, 菅 仁美1, 赤木 健太郎1, 渡辺 健1 (1.田附興風会医学研究所北野病院 小児科, 2.田附興風会医学研究所北野病院 産婦人科)

Keywords:胎児, 頻脈, 頻拍

【背景】一般的に胎児心疾患に対する胎内治療はいまだ確立されていないが、胎児頻拍に対する抗不整脈薬の母体投与は経験的に有効であるとされている。
【症例】在胎39週5日男児、胎児頻拍を主訴に近医から当院産婦人科へ搬送入院となり、当科紹介となった。胎児心エコーで心房は規則正しく収縮しており心房拍数は450回/分、房室伝導は2:1、心室拍数は208回/分であり、胎児心房頻拍と判断した。心臓に構造異常はみられず、有意な弁逆流もなかった。心室収縮は良好で、TCD=38.8mmと心拡大はなく、心嚢水貯留もみられず心不全の所見はなかった。また心筋性状および壁厚は正常であり、心筋症の所見もみられなかった。在胎39週での搬送であり、当院での分娩を希望された。このため、器質的心疾患が否定的かつ心不全がないことから、分娩準備をしながら胎児頻脈に対して抗不整脈薬の母体投与を行う方針とした。ジゴキシン急速飽和として初回0.5mgを静注したところ、投与後3時間9分で突然モニター上心拍数160回/分となった。胎児心エコーで房室伝導は1:1、心拍数は139回/分であり、洞調律に復したと判断した。初回投与8時間後にジゴキシン0.25mg静注、16時間後に0.25mg静注した。引き続き維持療法としてジゴキシン0.75mg分3を開始したが、1回内服した時点で経腟分娩に至った。在胎39週6日、体重3112g、Apgar score 9/9で出生した。生直後の心電図は心拍数171回/分、正常洞調律であった。心エコーで器質的心疾患は否定的であった。その後、外来経過観察中(3か月経過)であるが不整脈はみられていない。
【考察】胎児心房頻拍に対してジゴキシンの母体投与が著効した症例を経験した。母児ともに有害事象はみられず、胎児心房頻拍に対する治療として考慮される。