第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-08 電気生理学・不整脈

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心電図

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:56 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:畑 忠善 (藤田保健衛生大学大学院)

III-P-044~III-P-049

[III-P-044] 学校心臓検診要精査例における早期再分極の頻度とその臨床的意義

岩崎 秀紀, 藤田 修平, 谷内 裕輔, 久保 達哉, 畑崎 喜芳 (富山県立中央病院 小児科)

Keywords:早期再分極, 心臓検診, 特発性心室細動

【背景】 早期再分極(ER)は従来,病的意義に乏しい非特異的変化とされてきた. 近年, 特発性心室細動(IVF)患者にERを高頻度に認めることが明らかになり, 関連が注目される.IVFのER例では下壁誘導でJ点上昇が多く, リスク因子としてJ点後の水平下降型ST, 上昇電位0.2mV以上, notched J波などの報告がある. 【目的】学校心臓検診要精査例においてERの頻度および特徴を検討する. 【対象】2013年4月~2015 年1月に学校心臓検診要精査のために当科を受診した小学1年生(A群) 84人(男児48人, 女児36人),中学1年生(B群) 117人(男児58人, 女児59人)を対象とした. 【方法】標準12誘導心電図の複数の誘導でQRS-ST接合部(J点)の上昇を0.1mV以上伴うものをERと判定し, 頻度・上昇を認めた誘導・J波の形態について検討した. 【結果】ERの頻度は, A群: 男児7人(14.6%), 女児7人(19.5%), 計14人(17.0%). B群: 男児17人(29.3%), 女児12人(20.3%), 計28人(24.8%). 受診契機別のER出現頻度は, 心室性期外収縮: A群13.8%, B群24.4%, 川崎病の既往: A群20.0%, B群27.5%, QT延長: B群32.6%であった. ER陽性者において, 下壁+側壁誘導39.5%, 下壁誘導25.6%, 側壁誘導 34.9%にERを認め, 88.4%にnotched J波を認めた. J点の0.2mV以上の上昇を認めたものは12人(6.0%:男児9人, 女児3人)であったが, 突然死に関連する既往歴・家族歴を有するものはなかった. 水平下降型ST所見を認めるものもなかった.【考察】今回, 検診要精査例のER出現頻度は過去の心臓検診受診者の報告(2~10%)より頻度が高く, 心室性期外収縮だけでなく, 特に川崎病の既往・QT延長で高率に認め, 疾患特異性を有すると考えられる. 要精査例においても過去の報告と同様に, 成長に伴い男児のERの頻度が高くなる. 下壁誘導や上昇電位0.2mV以上のものも一定の割合で認められ, ERパターン上ハイリスクとされる例も少なくない.