第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-08 電気生理学・不整脈

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心電図

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:56 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:畑 忠善 (藤田保健衛生大学大学院)

III-P-044~III-P-049

[III-P-045] 心房中隔欠損症治療後の心電図変化についての検討

清水 寛之1, 安原 潤1, 熊本 崇1, 小島 拓朗1, 葭葉 茂樹1, 小林 俊樹1, 住友 直方1, 宇野 吉雅2, 枡岡 歩2, 鈴木 孝明2, 加藤木 利行2 (1.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓血管外科)

Keywords:Isolated negative T, abnormal T wave progression, ASD閉鎖

【背景】心房中隔欠損症(ASD)は不完全右脚ブロックを契機に診断されることが多いが、この他V3~V5のT波の不連続性(abnormal T wave progression;abnTWP)、V3、V4誘導の孤立性陰性T波(isolated negative T;INT )が心電図変化として知られている。しかし、ASD閉鎖後の心電図変化を詳細に検討した報告は少ない。【目的】ASDの心電図がASD閉鎖後にどう変化するかを検討するのが本研究の目的である。【方法】対象は、当院で治療を行った外科治療例(OP群;2007-2015にASD閉鎖術を行った79例(6か月~32歳))、カテーテル治療例(ASO群;2012-2015にAmplatzer Septal Occuluder (ASO)による閉鎖術を行った53例(5歳~73歳))である。後方視的にOP群とASO群の心電図変化を比較検討した。【結果】OP群では13例に術前にabnTWP、INTを認め、術後7日~5ヶ月でこの所見は消失した。また手術翌日の12誘導心電図の記録がある7例で一過性にI、II、aVF、V2~6に著明なST上昇を認めた。ASO群では2例にabnTWP、INTを認め、治療後2例とも術後2~6ヶ月で所見は消失した。ASO後の12誘導心電図は治療2日後に記録したがST上昇は認められなかった。【考察】abnTWP、INTなどのT波変化は右室容量負荷に伴う右室前面の再分極異常に伴うものと考えられている。同様の治療効果をもたらすOP群とASO群でT波変化が消失するまでの期間はOP群で短かった。これはASO群で術後完全な左右短絡が消失するまでの時間が長いことが関係することが考えられた。また、OP群は術後にST上昇を認める例が多く、術後1日目をピークに改善する傾向を認め、このような変化はASO群では見られないためASD閉鎖術特有の変化である可能性も考えられた。【結論】ASDに伴うT波の変化は、OP群、ASO群いずれも術後に改善したが、OP群で短かった。OP群では術後にST上昇を認める例が多かった。今後更なる症例の蓄積が必要である。