[III-P-046] 心室中隔欠損症における短絡率と再分極時間変動比率の関係
Keywords:VSD, JTp interval, 心筋再分極
【背景】心室中隔欠損症（VSD）では，左右短絡による両心室の前負荷が増大するために自律神経緊張の高まりと，代償的な心筋肥厚が生じて心筋脱分極や再分極過程は変調されることが予想される．【目的】再分極時間の変動特性が手術適応の補助的指標になり得るという仮説を，後方視的に手術実施患児と未実施群，および健常児から得られた計測値を比較し検証する．【方法】VSD患児74名の心電図サブインターバル解析｛連続120心拍のRR，QT，J pointからTend（JT），J pointからT peak（JTp），TpeakからTend（Tp-e）の時間計測｝を行い，それぞれの心拍補正値と再分極変動指数（Variability Index）を算出し，同日に記録されたドプラー超音波検査から得た短絡率との相関を検討した．さらに手術適応群（17例）と年齢と性を一致した非適応群（47例），健常対照群（47例）間の比較検定を行なった． 【結果】症例群において短絡率とJTpCは負の相関を示し， JTpVIは有意な正の相関を示した．３群間の比較では，補正値JTpCとJTCに手術適応群と非適応群間，手術適応群と健常群間に有為差を認めた．一方，変動指数のTp-eVIは手術適応群と非適応群間および健常群間のそれぞれに有意差を示した．【結論】心室中隔欠損症児童についての後方視的な検討から，Tp-eVIは手術適応の予測，および疾患群と健常児童群を識別した．早期再分極時間のJTpC時間，及びJTpVIは手術実施を説明する指標となり得た．手術適応とされる病態が再分極過程に反映され，侵襲的検査に制限のある小児では有効な補助指標になり得ることが示唆された．