第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-08 電気生理学・不整脈

ポスター
心電図

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:56 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:畑 忠善 (藤田保健衛生大学大学院)

III-P-044~III-P-049

[III-P-047] 基礎疾患のない単発性心室性期外収縮(PVC)の発生起源別にみた心拍変動解析

高橋 努, 井原 正博 (済生会宇都宮病院 小児科)

Keywords:心室性期外収縮, 心拍変動解析, 周波数領域解析

【背景】心拍変動の周波数領域解析で、高周波数(HF)成分は副交感神経活動、低周波数(LF)成分は主として交感神経活動、一部副交感神経活動により影響を受ける。LF/HFは交感神経機能の指標とされている。器質的疾患のある連発のPVCや心室頻拍の発症直前には交感神経活動が亢進していると報告されている。基礎疾患のない単発性PVCの発生起源別の自律神経活動の影響は不明である。【対象】心エコーで基礎疾患を否定した、7歳~17歳の単発性かつ単源性PVC24名(うち、1000回以上/日が11名、1000回未満/日が13名)。【方法】心電図から発生起源を分け、ホルター心電図でLorenz-Plot法によりDependent type、Mixed typeを示すものを増加型、Fixed type、Scattered typeを示すものを非増加型と分類した。PVC発生直前の20分間を5分毎に分け、発生直前からT1、T2、T3、T4とし心拍変動解析(HF、LF、LF/HF)を行った。【結果】左室起源は11名、右室起源は13名だった。左室起源のPVC>1000/日の群でT1(PVC発生直前の5分間)のLF成分がT2に比し有意に高値であり(p=0.03)、LF/HFもT1がT2に比し高値であった(p=0.05)が、HF成分は有意な変化を認めなかった。左室起源のPVC<1000/日群、右室起源のPVC>1000/日群、右室起源のPVC<1000/日群ではHF、LF、LF/HFいずれもT1とT2の間に有意差はなかった。これらの変化は、Lorenz-Plot法による増加型、非増加型の違いにより一定の傾向はなかった。【考察】左室起源のPVC>1000/日の群では、PVCの発生に交感神経の影響が強く心室頻拍に移行する可能性が示唆される。基礎疾患のない単発性PVCでも発生起源別に自律神経の関与が異なればリスクや予後予測の考え方も変わり、管理や治療も個別の対応が求められる可能性がある。