[III-P-049] 無脾症候群(右側相同)における心内形態と心電図電気軸の関係
Keywords:Heterotaxy, 二重房室結節, 無脾症候群
【背景】無脾症候群(右側相同)に合併する複雑型心奇形ではほぼ全例において前方房室結節と後方房室結節の2つの房室結節を持つことが知られる。心内形態と12誘導心電図における電気軸の関係を検討した。【対象と方法】無比症候群と診断した32例(男14例)の新生児期12誘導心電図における電気軸を上方軸と下方軸の2つに分けて、上方軸では前方房室結節を、下方軸では後方房室結節を介していると考え、心内形態との関連を検討した。【結果】心臓位正位 21、逆位 10、正中位 1であった。心房位:正位16、心房逆位13、不明3、心室ループ:Dループ19、Lループ13、大血管関係:D-位20(うちD-転位16)、L-位12(うちL-転位11)であった。心室形態はAVSDが最多13(40%)、次いでSRV10(31%)、DORV4、C-TGA2、DILV2、TA1であった。心電図電気軸は下方軸19、上方軸12、不定1であった。また9例(25%)において心電図でQRS軸変化が確認された。非SRV形態でatrioventricular(AV) concordant関係(N=10)では下方軸8、上方軸1、不定軸1に対して、AV discordant関係(N=11)では下方軸5、上方軸6と後方結節を介することが多かった。一方でSRV形態ではAV concordant関係(N=3)では下方軸1、上方軸2に対して、AV discordant関係(N=4)では下方軸5であり前方結節を介することが多かった。また下方軸QRS幅77msに対して上方軸92msであり有意に上方軸のQRS幅が広かった(p=0.01)。【考察】二室構造がある程度ある心形態(非SRV形態)ではAV discordantとなると後方結節を介する傾向にあるが、SRV形態では2つの房室結節間の距離が短縮するためその傾向は明らかでなかった。後方結節を介する場合にはQRS幅が広く、心機能への影響やSlingを介した伝導などの影響の示唆された。