第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-11 心不全・心移植

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心不全④

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:50 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:高橋 邦彦 (大阪大学医学部附属病院)

III-P-055~III-P-059

[III-P-056] カルベジロール導入中の先天性心疾患または小児期心筋症における心不全の予後予測因子

小野 頼母, 田中 高志, 鈴木 大, 川野 研悟, 小澤 晃 (宮城県立こども病院 循環器科)

Keywords:心不全, カルベジロール, BNP

【背景】カルベジロールは心不全における生命予後改善効果が示されているが、小児心不全、特に先天性心疾患における有効性を検討した報告は少なく、カルベジロール導入中の患者における予後予測因子も明らかになっていない。
【目的】カルベジロール導入中の先天性心疾患または小児期心筋症における心不全の予後予測因子を検討する。
【方法】対象は2005年4月から2015年3月に当科でカルベジロールを導入した18歳以下の先天性心疾患または心筋症。カルベジロールは初期量0.01 - 0.05 mg/kg/day、倍量または0.05 mg/kg/dayずつ増量、目標量0.2 mg/kg/day以上とした。カルベジロール導入時の年齢、追跡期間、転帰、カルベジロール開始量および最終投与量、カルベジロール開始前、開始3か月後、半年後、1年後のBNP値を検討した。左室を体心室とする先天性心疾患(CHD-L)および心筋症(CM)ではLVEF、LVFSについても検討した。
【結果】対象は19例(CHD-L 6例、CM 5例)、追跡期間はmedian 1.3 年 (IQR 0.7 - 2.1)だった。観察期間中の死亡は4例だった。カルベジロール導入時の年齢はmedian 1.7 歳 (Inter Quartile Range; IQR 0.7 - 4.3)、カルベジロール開始量、最終投与量はそれぞれ0.03 ± 0.01 mg/kg/day、0.24 ± 0.17 mg/kg/dayだった。生存例は死亡例と比較してカルベジロール開始6ヶ月後(median 48 pg/mL, IQR 18-150 vs 2290 pg/mL, 215 - 3255, p = 0.03)および12か月後(median 30 pg/mL, 19 - 50 vs 1240 pg/mL, 1180 - 5874, p = 0.001)のBNP値が有意に低かった。また、カルベジロール開始3か月後のBNP値が低い傾向にあった(median 106 pg/mL, IQR 28 - 154 vs 425 pg/mL 128 - 3596 , p = 0.12)。LVEFおよびLVFSはいずれの時点でも有意差を認めなかった。
【結論】カルベジロール開始後早期のBNP値は中長期予後の推定に有用な可能性がある。