[III-P-057] 小児慢性心不全に対するカルベジロール至適投与量の検討
Keywords:慢性心不全, カルベジロール, 投与量
【背景】小児慢性心不全（CHF）に対するカルベジロール (CV) の使用頻度は増加したが、その至適投与量については現在も不明な点が多い。【目的】小児CHFに対するCVの至適投与量を検討する。【対象と方法】小児CHF患者8名（先天性心疾患6例（HLHS 2例、SRV、TGA、TA、IAA各1例）、拡張型心筋症2例）。CV導入前の心駆出率（EF）は全例40％未満（32.9±6.2％）で、利尿薬、ACE阻害薬、強心薬を投与されている。上記に対し、CVを導入後0.4mg/kg/dayまで漸増し、その後0.8mg/kg/dayを目標に個々の症例において認容される最大用量まで増量している。投与前後におけるEF、心胸郭比（CTR）、BNPを後方視的に比較検討した。【結果】最終のCV１日投与量は0.4mg/kg 1例、0.5mg/kg 3例、0.6 mg/kg 2例、0.8mg/kg 2例であった。心不全で死亡した1例（拡張型心筋症、最終0.8mg/kg）を除き、CV導入により、CTR：0.63±0.05→0.58±0.04（p＝0.03）、EF：34.7±3.5％→47.6±15.8％（p＝0.03）、BNP：605±605 pg/ml→287±503 pg/ml（p＝0.02）と改善した。さらにCVの1日最大投与量＞0.4mg/kgの症例おける、0.4mg/kg時点と最終投与量での比較では、CTR：0.63±0.04→0.58±0.05（p＝0.01）と改善し、EF：48.4±15.8%→53.2±15.1%（p＝0.11）、BNP：457±746 pg/ml→337±606 pg/ml（p＝0.08）も改善傾向であった。【まとめ】小児CHFにおいてCVは、0.4mg/kg/dayで有効性を示すことが多いが、認容上限まで増量することで、より効果が得られる可能性がある。