第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-11 心不全・心移植

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心不全④

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:50 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:高橋 邦彦 (大阪大学医学部附属病院)

III-P-055~III-P-059

[III-P-058] 乳児期難治性心不全に対する心臓再同期療法の可能性-体重3kgでの成功例-

内藤 祐次1, 石井 陽一郎2, 吉竹 修一1, 田中 佑貴1, 池田 健太郎2, 中島 公子2, 田中 健佑2, 瀧聞 浄宏3, 安河内 聰3, 小林 富男2, 宮本 隆司1 (1.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科, 2.群馬県立小児医療センター 循環器科, 3.長野県立こども病院 循環器小児科)

Keywords:重症心不全, 乳児期, 心臓再同期療法

【背景】小児における薬物治療抵抗性重症心不全に対する治療法の進展はめざましくVentricular Assist Devise (VAD)を用いた移植へのbridgeは欧米において安定した治療選択枝となりつつある.しかしながら,体重10kg未満の乳児におけるVADの成績は安定しないのが現状であり,日本における小児移植医療の現況から低体重症例に対する代替的な治療法としてCardiac Resynchronization Therapy (CRT)が注目されている.【目的】当院で経験した体重3kgでの重症心不全に対するCRTを提示し,その有用性を検討する.【症例】6か月女児.低出生体重(GA 35w5d, BBW 2130g)で出生,NICU管理の後に外来経過観察されていた.3ヶ月時,発熱を契機に哺乳不良となり,当院へ紹介入院.入院時,末梢循環不全の所見あり,CTR 68%; 心電図: CLBBB, 149 bpm, QRS 144ms; BNP>2000 pg/mlという検査所見であった.心エコー上,EF 31.4%と高度の収縮不全を認め,冠動脈の起始異常も認められなかった.特発性拡張型心筋症の診断のもと,抗心不全療法(PDE3 inhibitor, カテコラミン,利尿剤,β-blocker)を約3ヶ月施行されたが,改善を認めず.心エコーにてSeptal flash (+), SPWMD 222ms, IVMD 48ms,Yu Index 40.8msとdyssynchronyの所見を認めたため,CRTの適応と判断された.手術は左肋間開胸,および胸骨正中切開より左室側壁,右室流出路にapproachし,pacing至適部位を同定した.DDD pacemaker (Medtronic Adapta S ADDRS1)をgeneratorとして使用し,CRTを開始した.術後はβ-blocker,血管拡張剤,冠血管拡張剤を併用し,術後1ヶ月時よりBNP値の低下を認め,術後3ヶ月で100-200 pg/mlで推移しており,体重増加,および臨床症状の改善が得られている.【結語】本症例は体重5kg以下での重症心不全に対してCRTが有効であった1例であり,VADの成績の安定しない低体重症例においてはCRTを介在させる治療プランも有用であると考えられた.