[III-P-060] 重症心不全を伴う小児期拡張型心筋症に対するTolvaptanの使用経験
Keywords:トルバプタン, 拡張型心筋症, 心不全
【背景】Tolvaptanは成人の治療抵抗性のうっ血性心不全における新たな治療薬とされており、近年は小児の心不全例にも安全に導入されることが知られている。しかし小児の重症心不全における使用の報告は少ない。今回当院で心移植を必要とする重症心不全に伴う小児期拡張型心筋症において導入した3症例について検討する。【症例】症例1 4歳女児。4歳4ヶ月に嘔吐で発症。発症3ヶ月でTolvaptan導入。導入後も心機能悪化認め体外循環装着のためTolvaptan中止。症例2 8ヶ月男児。生後2ヶ月に心原性ショックで発症。発症後2ヶ月でTolvaptan導入。体重減少、BNP値の低下が見られている。症例3 12歳女児。9歳時に心収縮力低下で発症。発症3年で心拡大、駆出率低下を認め、再増悪認めたためにTolvaptanを導入。ふらつき、消化器症状などhypo volemia, LOSに伴う症状強く減量を行っている。【考察】急性期については少量からの導入で心機能に変化なく体重減少、BNP値の低下は見られたが、慢性期での管理における導入では安全に導入できたが副作用が強く減量を余儀なくされていることから導入時期や、効果判定としてSvO2やTVIなどCOと相関する指標を用いることでより安全な使用ができると考えられる。【結語】小児期拡張型心筋症の重症心不全例においてTolvaptanの使用は腎機能に影響することなく安全に導入することができることがわかったが導入時期や初期量、あるいは導入後のモニタリングにおけるさらなる検討も必要である。