[III-P-065] 感染性心内膜炎に合併した未破裂感染性脳動脈瘤の乳児例
キーワード:感染性脳動脈瘤, 感染性心内膜炎, 未破裂脳動脈瘤
【背景】感染性心内膜炎に感染性脳動脈瘤は約1%に合併する。成人症例の報告は散見されるが、小児例の報告は少ない。また、未破裂例での治療方針に一定の見解は存在しない。今回、我々は感染性心内膜炎の加療時に未破裂の脳動脈瘤が発見、摘出を行った一例を経験した。【症例】1歳女児。無脾症、左室性単心室症、一側房室弁閉鎖、肺動脈弁狭窄、両側上大静脈、両側グレン術後。日齢41で左BTシャント術施行。月齢10ヶ月で両側グレン手術を施行。この際、順行性肺動脈血流は残存させた。術後経過は良好で、術後17日目に退院、外来フォローとなった。退院後発熱エピソードなし。1ヶ月後のフォローの心臓超音波検査で、肺動脈弁に疣贅を認め、緊急入院。血液培養で表皮ブドウ球菌(MRCNS)を検出。感染性心内膜炎の診断。疣贅サイズは14mmで、疣贅摘出、肺動脈切離を行った。術前の造影CTにて左側頭葉脳表近くに脳動脈瘤を認めた。発生部位、経過から感染性脳動脈瘤の診断。抗生剤加療を継続するも動脈瘤サイズに変化なく、脳外科と協議の上、破裂リスクおよび、破裂時の致死率、後遺症残存率は高いと判断。また、抗凝固療法の必要性あり、TCPC施行予定であること、動脈瘤は摘出可能な位置で、後遺症残存のリスクが比較的低いと考えられたことから摘出術施行の方針、38病日に動脈瘤摘出術を行った。摘出物の病理所見は仮性動脈瘤で、壁には炎症成分が認められ、細菌は検出されず。術後4日目に術関連の局所けいれんを認め、フェノバルビタールを開始。以後の再発は認めず、神経学的後遺症はなし。【結語】単心室症、グレン術後の感染性心内膜炎罹患時に感染性動脈瘤の合併を認めた症例を経験した。治療方針に一定の見解はなく今後も症例の蓄積が必要である。