[III-P-067] 心外膜リードを用いたペースメーカー感染の検討
キーワード:心外膜リード, ペースメーカー感染, ペースメーカー完全除去
【背景】先天性心疾患や小児ではペースメーカー(PM)植込みに心外膜リードを使用することも多い。ペースメーカー(PM)感染は、重篤な合併症であるが心外膜リードを用いたPM植込みに関しては、明確な治療指針は未だない。【対象】対象は、9例の心外膜リードを用いたPM感染例。複雑心奇形術後7例を含む(cTGAダブルスイッチ術後2例、多脾症TCPC術後1例、DORVラステリ術後1例、TGAジャテン術後2例、単心室septation後1例)。感染時年齢は、3歳1ヶ月から26 歳。【方法】臨床経過、細菌培養結果、対処法について後方視的に検討した。【結果】初発症状は全例、ポケット部位の発赤腫脹であった。直近のPMI又はPM交換から発症までの期間は5日から9か月。創部培養 は6例(67%)で陽性(MSSA2例、MRSA1例、S.capitis1例、aerobic GPR1例、S.aureus1例)。血液培養は3例(33%)で陽性(H.influenzae, S.capitis, MSSA)。全例で疣贅は認めず、感染に対する対処として最初にPM本体の除去と抗生剤投与が全例に施行された。しかし、6例(67%)は感染のコントロールが不良であり最終的に再開胸(PM本体摘出後0日から5年5ヶ月)によるリード抜去(PM完全抜去)をする事で感染のコントロールができた。リード抜去に至らなかった3例では、ポケット洗浄とGenertor交換したものが2例、リードを途中から切断してリードとPMを抜去、リード先端が残存しているものが1例であった。以降は3例全て感染コントロールされていた。【結論】心外膜リードを用いたPM感染においても、67%の症例でPM完全抜去を要した。再開胸リスクなどからリード抜去の時期が遅れる傾向もあるが、血液培養陽性例や感染コントロールがつかない場合は早期のPM完全除去の検討を要する。