[III-P-074] Pulmonary coarctationに対する外科的治療の至適時期に関する検討
キーワード:jaxtaductal PA corctation, 肺動脈形成術, 経皮的血管形成術
【背景】肺動脈閉鎖・肺動脈狭窄における動脈管狭小化に伴う肺動脈縮窄(Pulmonary coarctation;以下PC)は、肺血流の不均衡や末梢肺血管床の発育不良などが問題となりうるが、PCに対する外科的治療の介入時期に確立された基準はなく、施設により異なるのが現状である。【目的】PCでの至適な外科的介入時期について検討すること。【対象】平成20年10月1日から平成25年9月31日までにPCと診断した9例。原疾患は肺動脈閉鎖6例、修正大血管転位1例、ファロー四徴症1例、単心室1例。【方法】肺動脈の動脈管流入部に限局性狭窄があり、狭窄率(肺動脈最狭部径/対側中心肺動脈径)<0.67をPCと定義し、外科的手術の施行時期、狭窄率の経過などにつき後方視的に検討を行った。【結果】全例で体肺動脈短絡術や心内修復術時に肺動脈形成術を施行していた。初回肺動脈形成術の時期は、中央値1歳(1か月~2歳)であった。初回肺動脈形成術前の狭窄率は中央値0.43(0.13-0.56)であり、術後の狭窄率は中央値0.30(0.09~0.97)であった。肺動脈形成術前後での狭窄率について、1歳未満で手術を行った5例では手術前中央値 0.48(0.19~0.56)、手術後中央値 0.30(0.15~0.97)であり、1歳以降での4例は手術前 中央値 0.34(0.13~0.43)、手術後中央値 0.33であった。1歳未満で肺動脈形成術を行った5例中、術後に経皮的肺動脈形成術を施行した例は4例であり、1歳以上での手術例では4例中2例であった。Fontan手術を施行した5例においてFontan手術後の狭窄率は中央値 0.65(0.38~1.03)、二心室修復を行った3例での二心室修復術後の狭窄率は中央値 0.25(0.05~0.47)であった。【考察】PCの狭窄率に関して二心室修復術後よりFontan手術後の症例が狭窄率が低くなる傾向があると考えられた。また、乳児期の外科的治療は再狭窄を来たす可能性が高いため、必要に応じてPTAを行いながら児の成長を待ち、1歳以降に行っていくことが有効であると考えられた。