[III-P-076] Fontan適応患者における在宅酸素療法・肺血管拡張薬の積極的治療による効果
Keywords:Fontan手術, 肺血管拡張薬, 在宅酸素療法
【背景】Fontan適応患者に対する肺血管拡張薬(PVD)や在宅酸素療法(HOT)の有効性の報告を散見するが, 現在のところエビデンスを確立するまでには至っていない。【目的】当院では2009年以降Fontan適応患者に対しPVDやHOTの積極的な使用を行ったため, それらの治療効果を検討すること。【対象・方法】対象は2004年1月から2014年12月に出生し, 当院で管理を行ったFontan適応患者77例のうちBDG術後もしくはTCPC術後の心臓カテーテルを行った33例。2004-2008年に出生した群(A群:18例)と2009-2014年に出生した群(B群:15例)において, BDG術後, TCPC術後の臨床経過について後方視的に比較検討を行った。【結果】2群においてPVDは5例(27.7%):9例(60.0%) (p<0.01), HOTは4例(22.2%):13例(86.6 %) (p=0.011)と有意にB群の使用率が高かった。術後の2群の平均肺動脈圧(mPAP)はBDG術後11.8 ± 4.2 mmHg:10.0 ± 2.7 mmHg, TCPC術後12.3 ± 3.1 mmHg:11.4 ± 1.8 mmHgとB群に低い傾向がみられたが有意差はなかった。TCPC術後の経過においてドレーン抜去時期は6.2 ± 4.7日: 3.2 ± 1.1日 (p=0.027)と有意にB群が早かったが, 抜管時期, ICU滞在期間, 入院期間に有意差はなかった。【考察・結論】PVDとHOTの使用率が有意に高いB群において術後のmPAPは低値の傾向があり, ドレーン抜去時期は有意にB群が早かった。Fontan適応患者に対するPVDやHOTの積極的投与は予後を改善する可能性があるが, 今回の検討では疾患や患者背景によるバイアスを加味しておらず, 今後更なる症例の蓄積が必要である。