第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-13 術後遠隔期・合併症・発達

ポスター
フォンタン循環(低心拍出)

Sat. Jul 18, 2015 11:26 AM - 11:56 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:鷄内 伸二 (兵庫県立尼崎病院)

III-P-076~III-P-080

[III-P-080] 当院におけるFontan術後の蛋白漏出性胃腸症の経験

杉谷 雄一郎1, 中村 真1, 牛ノ濱 大也1, 佐川 浩一1, 石川 司朗1, 中野 秀俊2, 角 秀秋2 (1.福岡市立こども病院 循環器科, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:肺動脈閉鎖兼正常心室中隔, TCPC, Brock

【背景・目的】Fontan術(F)後の蛋白漏出性胃腸症(PLE)は重篤な合併症であり、当院のPLE発症例を再確認すべく検討した。【対象・方法】対象は当院開院より2014年末までにF後PLEを発症した14例(PLE群)で、同時期にFを施行しPLEを発症しなかった性・年齢が一致した14例(非PLE群)を対照群とし、出生体重、F年齢、F時人工心肺時間(CPB time)、術後12時間の中心静脈圧(CVP)、術後ドレーン留置期間(Drainage time:D time)、ICU滞在期間(ICU)、術後入院期間、F後早期カテ検査時CVP、肺血管抵抗(RpI)、心室拡張末期圧(EDP)、心係数(CI)、F後生存期間を比較し、PLE群でPLE発症後生存率、F後PLE発症までの期間を調べた。またPLE発症因子について検討した。【結果】PLE群:非PLE群でデータ(中央値)を示す。出生体重=2805:3066g、F年齢=3.2:3.1歳、CPB time=139:100分、術後12時間後CVP=12:9mmHg(p=0.03)、D time=6.5:6.0日、ICU=6:2 日(p=0.01)、術後入院期間=47.0:22.5日(p=0.001)カテ時CVP=13.0:9.5mmHg(p=0.003)、RpI=1.8:1.2 U/m2、EDP=3.0:4.0mmHg 、CI=3.1:3.6L/分/m2(p<0.05)、F後生存期間=12.0:15.0年、PLE群のF後生存率は10年=96、20年=89%、PLE発症後5年生存率=71.4%、F後PLE発症までの期間は中央値7.4年であった。PLE発症因子に関してCOX比例ハザード解析を行い、カテ時CVP(ハザード比(HR)=1.3、95%信頼区間(CI)=1.06-1.59、p=0.01)、術後入院期間(HR=1.0、CI=1.01-1.04、p=0.001)、HLHS(HR=9.8、CI=2.63-36.56、p=0.001)、RpI(OR=1.6、CI=1.04-2.52、p=0.03)が単変量解析で有意差を認めたが、多変量解析では有意差をみとめなかった。【考察】PLE発症の危険因子は、従来から指摘されているCVP、ICU、術後入院期間や新たにHLHSが候補として考えられる。PLE発症防止にはCVPを下げる管理を含め系統だった治療戦略が必要と考える。