第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスター

2-03 外科治療遠隔成績

ポスター
フォンタン循環その他

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:20 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:中島 弘道 (千葉県こども病院)

III-P-081~III-P-085

[III-P-081] Fontan循環における適切なfenestration抵抗

栗嶋 クララ1,2, 桑田 聖子1, 金 晶恵1, 梁 明子1, 岩本 洋一1, 石戸 博隆1, 増谷 聡1, 先崎 秀明1 (1.埼玉医大総合医療センター 小児循環器科, 2.福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:Fontan, fenestration, 心機能

【背景】Fenestrated(f) Fontanは肺血管抵抗(Rp)高値の症例等において術後急性期の循環成立に寄与している.一方,慢性期のfenestrationの動態については明らかでない.Fenestrationの抵抗(RF)は,ある心血管機能の条件の下,fenestrationの役割を規定し,SaO2に影響を及ぼす.従って,生理的に適正なRFとfenestration通過血流(QF)およびSaO2の関係が存在するはずである.この関係を理解することは,個々の患者におけるfenestrationの役割,存在意義を理解する上で重要である.
【方法】当大学で心臓カテーテル検査を施行したf Fontan 32例を対象に,fenestrationの圧差(中心静脈圧-心房圧)をQF(Qs-Qp)で除してRFを算出し,RFとRp,SaO2,心血管機能の関係を検討した.
【結果】RFの平均は6.7±6.0 RUm2で,0.6から21RUm2の幅広い範囲に分布した.SaO2=0.65×RF+87 (r=0.77),QF=2.5×Rp/FR+0.03 (r=0.97) の適正なRF vs. SaO2関係およびQF vs. Rp/RF関係が存在し,この関係式,更にこの関係式から逸脱する症例の検討により,1)RF 10RUm2までがfenestrationの機能rangeでありそれ以上は閉鎖傾向であること,2)RF 2Rum2以下は大きめのfenestrationであるが心機能血管機能が維持されていると大凡87%以上のSaO2は保てること,3)心機能,静脈機能の異常はRpに対するRFの相対役割を増減し,RFは可変抵抗として心拍出量に影響を及ぼすこと,が解明された。
【考察】個々の症例におけるRFの算出とRF vs. SaO2関係およびQF vs. Rp/RF関係の評価は,Fontan循環におけるfenestrationの役割と病態生理的意義,心血管機能の推定を可能とし,fenestration閉鎖の可否や心血管機能に対する薬物療法の適応を明確にしてくれる臨床上非常に有用な重要検討項目である.