第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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2-03 外科治療遠隔成績

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フォンタン循環その他

Sat. Jul 18, 2015 10:50 AM - 11:20 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:中島 弘道 (千葉県こども病院)

III-P-081~III-P-085

[III-P-085] フォンタン型手術後遠隔期に向けての心臓カテーテル検査指標の推移

金 成海1, 鬼頭 真知子1, 石垣 瑞彦1, 濱本 奈央2, 佐藤 慶介1, 芳本 潤1, 満下 紀恵1, 新居 正基1, 田中 靖彦1, 坂本 喜三郎3, 小野 安生1 (1.静岡県立こども病院 循環器科, 2.循環器集中治療科, 3.心臓血管外科)

Keywords:フォンタン型手術, 心臓カテーテル検査, 遠隔期

【背景】フォンタン型手術後若年期・成人期へのフォローアップ項目は多岐にわたる.その中でも当科では,一般状態良好で再介入不要なF術後症例に対し,術後約1年,その後約3~5年毎に心臓カテーテル検査で評価する方針としている.【目的】成長に伴うフォンタン術後の経過の一側面として,心カテ循環動態指標の経時的変化を明らかにすること.【対象・方法】開院以来1988~2004年末までに施行されたフォンタン術後144例中,死亡・フォロー脱落・再介入いずれもなく10年以上経過し,前述の定期的心臓カテーテル検査を施行した45例を対象とし,長期にわたり再現性の高い指標である中心静脈圧(CVP),肺動脈楔入圧(PAWP)の推移を検討した.フォンタン型手術施行年齢は中央値2.3 (0.4-16.5)歳.心室形態は右室型単心室結合19例,左室型単心室結合15例,分割不能な両心室成分11例.術式は全例total cavopulmonary connection (TCPC)で,心外導管 31例,心内導管 2例,ラテラルトンネル 8例,肺動脈下大静脈直接吻合 4例であった.【結果】術後早期(約1年)→中期(3-6年)→遠隔期(8-11年)の3期において,CVPは12.2±1.9 → 11.0±1.8 → 9.4±1.7 (mmHg) (各P<0.001)と有意に低下し,PAWPは6.6±2.2 → 6.5±2.0 → 5.6±2.1 (mmHg) (各NS, P<0.05)と遠隔期低下を認めた.早期から遠隔期のCVP低下については心室形態による差はなく,導管群に比してラテラルトンネル群の低下傾向は有意性を欠いた(12.5→→9.5 mmHg, P=0.053).【考察】特別なイベントなく保たれたフォンタン型手術後では10年後の遠隔期に向けてCVP,PAWPが低下していく.今後さらなる多方面からの評価を加味し,循環動態を保持・向上させる取り組みが望まれる.