第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-06 心臓血管機能

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心臓血管機能③

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:56 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:石川 友一 (CVIC心臓画像クリニック飯田橋)

III-P-086~III-P-091

[III-P-086] 極低出生体重児の動脈管開存における正常LVDd値を基準とした治療判断の試み

長澤 宏幸 (岐阜県総合医療センター 新生児内科)

Keywords:Persistent ductus arteriosus, Echocardiography, Left ventricular end-diastolic dimension

【目的】極低出生体重児の動脈管開存(PDA)においては、その治療方針に迷う場合が少なくない。本疾患では肺動脈血流が増加するため左室拡大が必発である。Nagasawaは、未熟児における左室拡張末期径(LVDd)の正常値を身長を基準として示した。今回この正常値に基づいたPDAの治療方針が構築できるかについて後方視的に検討したので報告する。【方法】過去約7年間に当院NICUに入院した在胎週数30週未満の極低出生体重児を対象とした。動脈管閉鎖術を受けた30例をL群とした。これに対し, 同期間中に在胎週数、男女比、出生体重において有意差のない同手術を受けなかったがインドメサシン治療を受けた30例(I群)およびいずれの治療も受けなかった30例(インドメタシン予防投与のみの例を含む) (C群)とを選び、L群との比較を行った。全対象症例の在胎週数は、23週3日から29週6日(26.9±1.8週、平均±標準偏差)、出生体重は、516-1485g(954±251g)、出生身長は、28.0-40.7cm (33.6±3.1cm)であった。いずれも臨床経過中のLVDdの正常値に対する比の最大値(%)について検討した。【成績】L群では、閉鎖術前のインドメサシン投与は、18例に行われていた。また、手術直前のLVDdは、L群では不応例を除いてほぼ全ての症例でLVDdが正常値の130%以上(平均142%)であった。一方、I群では、108-142%(平均121%)、C群では86-121%(平均106%)であった(P<0.01)。I群では、最終的に全例閉鎖を確認された。【考察】LVDdが正常値の130%以上ならば、インドメタシン無効もしくは非適応例では閉鎖術を、インドメタシン未投与例ではその投与を行い効果を見る。正常値の115-130%であれば、臨床経過や他の所見と合わせてインドメタシン治療をするかどうかを決める。正常値の115%未満では、経過観察とする、のが妥当と考えられた。【結論】極低出生体重児において、LVDdの正常値をPDA治療基準の指標として用いることは有用ではないかと考えられた。