第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-06 心臓血管機能

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心臓血管機能③

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:56 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:石川 友一 (CVIC心臓画像クリニック飯田橋)

III-P-086~III-P-091

[III-P-090] Fontan術後遠隔期における凝固・線溶系機能の変化は施設間で異なるか?~2施設における経験と今後の課題について~

宇野 吉雅1, 鈴木 孝明1, 枡岡 歩1, 細田 隆介1, 加籐木 利行1, 小林 俊樹2, 葭葉 茂樹2, 小島 拓朗2, 清水 寛之2, 安原 潤2, 住友 直方2 (1.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

Keywords:Fontan循環, 凝固線溶系機能, 術後遠隔期

【背景・目的】演者はこれまでFontan術後の凝固・線溶系機能の推移を経時的に評価し、その結果より抗凝固療法を含めた治療方針について検討を行ってきた。今回勤務地の異動に際し異なる施設にて加療・管理されている症例について、術式、治療方針等の違いによる較差の有無を含め検討した。【対象・方法】当施設でFontan手術施行後外来通院にて定期的な経過観察が可能な19例を対象に静脈採血検体にてthrombin-antithrombin III complex (TAT, 正常値3.0ng/ml以下)およびα2-plasmin inhibitor-plasmin complex (PIC, 同0.8μg/ml以下)値を測定し、その経時的変化について検討を行った。【結果】Fontan施行年令は1.9-7.1(mean:2.6)y.o.,経過観察期間(採決時期)は術後1m-19y(mean:4.2y)で、計28検体。観察期間中に重篤な合併症症例なく、画像診断にて血栓塞栓症発症なし。測定値は、《TAT》1m: 9.6±1.0, 6m:6.2±1.0, 1y:3.1±0.3, 2-3y:1.8±0.1, 4-5y:2.5±0.9, 6-9y:1.8±0.2, 10-y:2.0±0.3ng/ml、《PIC》1m:1.5±0.4, 6m:0.9±0.2, 1y:0.5±0.1, 2-3y:0.5±0.1, 4-5y:0.5±0.1, 6-9y:0.8±0.1, 10-y:0.6±0.1μg/ml。この結果より術直後は亢進状態にある凝固線溶系は6か月頃より1年で低下、その後正常範囲内にて推移するという前施設と同様の経過が認められた。【考察】術式、治療方針等に差が認められる2施設においても同様の経過が得られたことより、両機能は各施設間の格差に影響を受けずいずれも時間経過とともに同様の経過にて推移する可能性が示唆された。【結語】1)Fontan術後の凝固・線溶系機能は管理する施設に拘わらず同様の経過を辿る可能性が推測され、抗凝固療法など治療方針について検討の一助となりうる、2)今後も症例、施設数を拡大し両機能を評価したうえで抗凝固療法緩和の是非についても検討を行っていくことが、患者さんの利益につながることになり重要である、と考えられた。