第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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1-06 心臓血管機能

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心臓血管機能③

Sat. Jul 18, 2015 11:20 AM - 11:56 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:石川 友一 (CVIC心臓画像クリニック飯田橋)

III-P-086~III-P-091

[III-P-091] 簡便な心室機能の評価法-水圧によるdp/dt maxおよびTauの測定-

栗嶋 クララ1,2, 桑田 聖子1, 金 晶恵1, 梁 明子1, 岩本 洋一1, 石戸 博隆1, 増谷 聡1, 先崎 秀明1 (1.埼玉医大総合医療センター 小児循環器科, 2.福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:dp/dt max, Tau, 心機能

【背景】心室の収縮性を評価する際,駆出率を用いることが多い.しかし,駆出率は,本来,後負荷に対してプロットしなければ心筋収縮性の指標として使用できない.心室固有の収縮特性を評価する際,dp/dt maxはEesと並び重要な指標である.心臓カテーテル検査中,水圧で測定した(water) dp/dt maxは自動的に計算することが可能かつ簡便であるが,その正確性については不明である.
【目的】water dp/dt maxの正確度を検討する.また,拡張能の指標であるTauについても比較検討する.
【方法】心臓カテーテル検査中に水圧および高精度圧測定用ガイドワイヤー(wire)を用いて心室圧波形を記録した25例を対象とし,water dp/dt max, Tauの正確度を検討した.
【結果】water dp/dt maxと wire dp/dt maxの相関係数は0.967とよく相関していた(P<0.001).しかし,Bland Altman分析でdp/dt maxが大きくなるほど測定値の差も大きくなる比例的一致関係を認め,正確なdp/dt maxを得るためには補正が必要であることを意味した.一方,water Tauは,wire Tauと相関関係にある(P<0.05)も相関係数は0.49と低かった.Bland Altman分析では測定値の差はランダムであり,かつ互換性は認められなかった.
【考察】心室圧波形解析による収縮能および拡張能の評価は重要であるが,wireによる測定は時間を要する.通常の心臓カテーテル検査で求まるwater dp/dt maxを補正することにより正確な値を得ることが可能である.また,相関係数は良好であるため,個体の変化をフォローアップするには有用と考えられた.一方,water Tauについては誤差が大きく,その要因として測定圧範囲が不安定になることが挙げられ,dp/dt max-心室圧関係をプロットし,適切な測定圧範囲を確認することが重要である.