第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-14 成人先天性心疾患

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成人先天性心疾患の諸問題②

2015年7月18日(土) 10:50 〜 11:14 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:白井 丈晶 (聖路加国際病院)

III-P-092~III-P-095

[III-P-094] 成人先天性心疾患における血小板分布幅の検討

加藤 匡人, 稲井 慶, 篠原 徳子, 清水 美妃子, 竹内 大仁, 豊原 啓子, 富松 宏文, 石井 徹子, 杉山 央, 中西 敏雄 (東京女子医科大学 循環器小児科)

キーワード:血小板分布幅, 成人先天性心疾患, 心不全

【背景】血小板分布幅(platelet distribution width: PDW)は冠動脈疾患をはじめとした心血管病変の診断・予後予測因子として有用であると報告されている。しかし、先天性心疾患(ACHD)患者におけるPDW測定の有用性は明らかではない。今回、我々はPDWのACHD・心不全患者における診断的意義を検討した。【方法】2014年1月から2014年12月の1年間に、心不全治療目的に当科に入院したACHD患者40人(HF群)と、同時期に入院した心不全症状のないASD患者40人(control群)においてPDWを測定し比較した。また、HF群において追跡調査を行い、PDW値と心血管イベント発生の関連を調べた。【対象】HF群は平均年齢38.5±2.6歳で男性13人・女性27人、control群は平均年齢39.2±2.7歳、男性15人・女性25人であった。HF群の基礎疾患の内訳は単心室修復術(Fontan手術)後が10人、二心室修復術後が22人、チアノーゼ性心疾患の自然歴または姑息術後が8人だった。NYHA心機能分類ではclassIIが24人、IIIが12人、IVが4人であった。【結果】HF群ではcontrol群と比較し優位にPDWが高値であった(HF vs control: 15.1±0.3% vs 10.6±0.3%, p<0.0001)。HF群の中では、単心室修復後や姑息術後の患者やNYHA class IIIおよびIVの患者でPDWが高い傾向にあった。HF群をPDW中央値(15%)で分割し、心不全再入院や死亡などの有害事象発生との相関をKaplan-Meier法を用いて評価したが、有意差を認めなかった。【結論】PDWはACHDの心不全患者において高値を示した。予後予測因子とはならなかったが、病勢を反映している可能性はあると考えられた。