[III-P-095] 肺血流量の不均衡を残す先天性心疾患修復術後の成人女性2例
Keywords:成人先天性心疾患, ファロー四徴症, 完全大血管転位症
【背景】成人先天性心疾患(ACHD)の患者では、移行期に受診行動が不定期になりがちで、計画的な精査が難しいことが多い。今回、小児期に修復術を受けたが、肺血流量の不均衡を残したまま成人になり、10数年振りに心カテ評価を行ったACHD2例について報告する。【症例1】26歳女性、ファロー四徴症(TOF)術後。出生後数日でTOFと診断、7か月時の心カテで左肺動脈狭窄を認めた。2歳までに両側BT shunt術、5歳で根治術を施行。6歳時のカテで左肺動脈狭窄の残存を認めたが、7歳で経皮的左肺動脈拡張術、11歳で同部にステント留置を施行し、RPA圧は低下し、肺血流シンチグラムはL:R=2:8であった。就職後、大学には受診歴なく、未婚のまま妊娠中絶も経験するなどの問題あり、26歳で正確な病状評価のため入院した。心カテでのRPA圧は前回と変わらず、肺血流シンチは前回より軽度に改善しており、増悪を認めなかった。【症例2】25歳女性、完全大血管転位症(TGA)術後、術後右肺動脈狭窄。1ヶ月時に体重増加不良からTGAと診断、生後6週でJatene手術を施行。1歳、6歳、12歳で施行した心カテでは主肺動脈狭窄と右肺動脈狭窄を認め、12歳時の肺血流シンチグラムはL:R =77:23であった。その後、受診が不定期になったが体育学部に入学しており、就職を機に受信したため精査を勧め、25歳で再評価のため入院した。心カテでのMPA圧とRPA圧は前回とほぼ同程度で、RV圧は軽度に低下していた。【結論】肺血流に不均衡を残している例では小児期に無症状のことが多いが、25%以下の少量でも片側血流を確保しておくことで、成人期までに血流バランスが改善する例がある。今回の2例はこのままでも仕事や妊娠出産は可能と思われるが、定期的に血流評価を行い、さらに長期経過の確認と介入の必要性の検討を続ける必要がある。