第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

1-16 肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスター
肺高血圧 症例報告

Sat. Jul 18, 2015 11:14 AM - 11:50 AM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:鈴木 浩 (すずきこどもクリニック)

III-P-096~III-P-101

[III-P-096] 先天性横隔膜ヘルニアに伴う肺高血圧に対する肺高血圧治療薬の役割

澤田 博文1,2, 大橋 啓之1, 淀谷 典子1, 大槻 祥一郎1, 小沼 武司3, 早川 豪俊4, 新保 秀人3, 丸山 一男2, 三谷 義英1 (1.三重大学医学部 小児科学, 2.三重大学医学部 麻酔集中治療学, 3.三重大学医学部 心臓血管外科, 4.はやかわこどもクリニック)

Keywords:肺高血圧, 新生児, 横隔膜ヘルニア

【背景】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)は、致死率が約25%と予後不良な疾患であり、肺低形成に伴う新生児遷延性肺高血圧(PPHN)が主な予後不良因子と報告される。しかし、PGI2製剤(epoprostenol:EPO)、PDE5阻害薬など肺高血圧治療薬(DTT)のCDH合併PPHNでの役割は不明である。【目的】CDHに伴う高度PPHNの治療におけるDTTの効果を検討する。【対象】2001年4月-2014年12月、当院NICUに入院したCDHを診療録から抽出し、胎児診断、急性期治療内容、転帰(PH残存、生命予後)を検討した。【結果】CDH38例(男21、女17)中、胎児診断は27例(71.1%)で、NOを使用した高度PPHN合併は22例(59.5%)であった。生存はNO非使用の16例中15例、NO使用の22例中12例であった。その高度PPHN22例の内、体血圧維持困難な16例に、PGE1を使用し動脈管開存を維持し、さらに生命維持困難な7例と術後PHを認めた1例においてDTTを行った。DTT施行8例は、胎児診断時リスク指標lung-to-thoracic ratio(LTR)は0.02-0.14(中央値0.03)で、最重症群CDHであり、4例が修復前に死亡、2例が修復術後死亡、2例は生存退院可能であった。2例とも術後PHが残存しsildenafil(SIL)で治療を継続した。DTT非施行30例中では、2例でPHが残存し在宅酸素療法(HOT)を行った。術前EPO使用は7例で、4例は、酸素化に乏しく修復前死亡、3例で酸素化改善などの急性効果を示し、修復術を行った。EPO有効例では、換気不良の患側の肺血流増加を認めた。1例(LTR 0.08)はVSDを合併し、術後EPO離脱困難で術後60日に死亡した。1例(LTR 0.02)は、術後回復したが、EPO離脱後、術後30日、PH crisisを来し死亡した。1例(LTR 0.04)は術後SIL投与下でEPO離脱し退院した。18か月観察中、PH持続し、HOT、SIL投与中である。【結語】 DTTは、従来のNO吸入、PGE1療法で生命維持困難な最重症CDHのPHの管理において効果を示す例があり、救命率や予後改善に、寄与できる可能性がある。