[III-P-097] 先天性横隔膜ヘルニア術後肺高血圧に対する内服治療の検討
Keywords:横隔膜ヘルニア, 肺高血圧, 一酸化窒素
【背景】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)根治術後に持続するPHは生命予後と関連する報告がある。しかしながら、CDH術後PHに対する治療に関してまとまった報告は少ない。【目的】当施設でCDH術後PHに対して内服治療を行った症例について、臨床経過をまとめ、その効果と副作用について検証すること。【方法】2008年10月~2014年12月に、当院で治療を行ったCDH症例59例について、診療録より臨床情報を後方視的に調査し、CDH術後も残存するPHに対して内服治療を導入し、当科で経過観察中の症例について検討した。【結果】期間中、CDH術後PHに対して内服治療を行った症例8例のうち、内服治療中に転院した3例を除く5例について解析した。CDHに対する根治術は全例血行動態の安定後に行う方針であった。左側CDH4例、右側CDH1例、出生前診断は5例中4例でなされていた。染色体異常を伴った症例はなかった。術前治療としてはECMOが3例で使用され、NOは全例で使用されていた。内服薬の導入理由はPHを伴う血行動態の不安定に対して、NO減量中止を目的としたものが4例、NO中止後に残存するPHに対する治療目的が1例であった。内服薬は5例でシルデナフィル、1例でベラプロストであった。シルデナフィルの1例は経過中にタダラフィルに変更した。シルデナフィルの最大投薬量は平均で2.6mg/kg/day(1.3-3.6 mg/kg/day)であった。NO中止目的で内服治療を開始した4例では平均16日でNOを中止でき、残りの1例も内服導入後安定した血行動態が得られた。経過中全例で内服中止を要する副作用は認めなかった。【結論】CDH術後PHに対する今回の症例における投薬では重篤な副作用なく、安定した血行動態が得られた。今後は症例を集積し、治療と予後との関連、適切な肺高血圧の管理目標の検証する必要である。